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●種の特性
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日本のチョウ類としては特異な半肉食性の種で,初齢幼虫はアブラムシなどの分泌物を食し,2 齢からはミズナラ(ブナ科)などの葉も食べるが,主にアブラムシやカイガラムシを食して成長する.年1 回,7 月下旬から発生し夕刻に発生木やその周辺の梢上を緩やかに飛翔する.また,発生木から遠くへ離れることも少ない.
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●生息状況
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国外では中国北部,アム−ル,ウスリ−,朝鮮に,国内では北海道,本州に分布する.生息地では特定の発生木に依存するためか,分布は局所的で個体数も少ない.県内では和泉村貝皿からの記録を見るだけで,貝皿ではミズナラから越冬卵,幼虫も確認されている.
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●存続を脅かす要因
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和泉村では発見当初から村の「自然風物保護に関する条令」で保護対象(第3 条に基づく「保護物件」)に指定され,採集禁止等の保護策がとられている.本種は自然度の高いブナ,ミズナラ林に生息するため,伐採など生息環境の変化が脅威となる.
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●参考文献
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福井県.1999 .福井県のすぐれた自然 動物編.452pp .福井県.
川副昭人ほか.1976 .原色日本蝶類図鑑.保育社.大阪. 西村義信.1980 .福井県よりムモンアカシジミとクロシジミ発見.だんだら(1):14- 15 .福井むしの会.
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