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●種の特性
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トワダカワゲラ(属)は氷河時代の遺存種といわれ,特異な姿をしている.体は暗褐色で細長い円筒形をしており,幼虫では腹部第9 節と10 節の間に糸状の鰓束が環状に配列する.成虫は翅をもたず,体型は幼虫とほとんど変わらない.
山間の細流,水温の低い源流域で,水の落ち込む淵の周辺部,落ち葉の間などで見つかる場合が多い.
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●生息状況
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トワダカワゲラは本州中部以北に分布する.本州には2 種分布しているが,このうち本種は西南部に分布する.
本県および滋賀県の北部が分布の西南限界域になっているものと思われる.本県では石川,岐阜,滋賀各県との県境の山地で,水温の低い源流域で生息が確認されているが,個体数は少ない.
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●存続を脅かす要因
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氷河時代の遺存種で冷水域に生息しているが,今後は地球温暖化の影響で分布限界域が北上し,本県での生息も脅かされる可能性がある.また,生息数が少ないことや,移動範囲が狭く環境への適応性が低いことから,森林伐採や山地への人の立ち入り等による環境の変化で,生息が脅かされる可能性も高い.
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●参考文献
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川合禎次.1985 .日本産水生昆虫検索図説翅目134pp .東海大学出版会.
前田正紀.2001 .福井陸水生物会報,(8 )9pp .福井陸水生物研究会. Uchida and Maruyama.1987.What is Scopura longa U ´eno.1929?Zool .Sci .4 .
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