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●種の特性
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平地や丘陵地の樹林に囲まれた池沼に生息する全身橙黄色のアカネで,水質の良い自然度の高い水域を好む傾向が強い.成虫は7 〜8 月頃に羽化して12 月まで見られる.
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●生息状況
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国内では北海道,本州,四国,九州に分布する.北海道と東北地方北部および九州南部では産地がかなり局地化し,神奈川県のように絶滅状態にある地域も見られる.
県内では芦原町,金津町,丸岡町,福井市,勝山市,大野市,織田町,鯖江市,敦賀市,三方町,小浜市,高浜町などで記録されているが,現存する確実な生息地はかなり限られている.小浜市荒木の生息地は,かつては1 月まで成虫が見られるなど多産していたが,大きな環境の変化が見られないにもかかわらず現在ではほとんど見られない.
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●存続を脅かす要因
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本種は水質が良く自然の岸辺を残した水域に生息するため,コンクリート護岸による溜池の改修が大きな影響を与えるほか,周辺林の伐採も脅威となる.肉食魚による捕食圧も懸念される.
高浜町の複数の溜池では,大規模な改修により,現在はほとんど見られなくなった.
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●参考文献
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福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会編.1985 .福井県昆虫目録.福井県.
福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会編.1998 .福井県昆虫目録(第2 版).556pp .福井県. 苅部治紀.2000 .神奈川県の絶滅昆虫.昆虫と自然,36 (12 ):31- 34 . 清水典之.1992 .トンボDragonflies .70pp .自刊. 杉村光俊・石田昇三・小島圭三・石田勝義・青木典司.1999 .原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑.xxxv + 917pp .北海道大学図書刊行会.札幌. 和田茂樹.2001 .福井県におけるトンボ類の生息地の現状.Ciconia ,(9):37- 42 .福井県自然保護センター.
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