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●種の特性
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ホオナガスズメバチ属のものは,複眼後端と大顎基部との間の距離が長い(ホオナガ)ことで,他のスズメバチ類と区別される.
本種は体長が雄は13 〜17mm ,雌は16 〜18mm で,象牙色〜白色の斑紋を持つ.雌の頭盾上の黒斑が頭盾上縁に達しないこと,雄の後胸背板の白紋は退化して2 小点であることなどから,近似種と識別できる.
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●生息状況
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北海道と本州の山岳地帯に分布する.
ニッポンホオナガスズメバチに社会寄生する.越冬した女王は春になっても巣を作らず,働き蜂が羽化した宿主の巣に侵入し,その巣の女王を殺して巣を乗っ取る.宿主の働き蜂に自分の子を養育させるので,本種の働き蜂はいない. 福井県では,大野市や和泉村の山中での採集記録がある.本県ではシロオビホオナガスズメバチに社会寄生すると推測される.
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●存続を脅かす要因
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この種は池田町と奥越地方の高山帯に生息する数少ない種で,環境の微小な変化にも影響されやすい.林道の開発や森林の伐採などが脅威となる.
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●参考文献
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田埜正.1985 .日本産スズメバチ亜科について.福井県高等学校理科研究会会誌,(28 ):31- 38 .福井県高等学校理科研究会.
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