-
●種の特性
-
働蟻は体長4.5 〜6.5mm .体色は,頭部,胸部,腹柄部は赤褐色が基調で,頭部,胸部背面はやや暗褐色である.頭部後縁は窪んでいることが,近縁種との大きな違いである.
-
●生息状況
-
北海道から本州まで分布する.赤色型のヤマアリの中では最も西方まで生息域を広げている種で,広島県,鳥取県でも記録されている.本県の生息地域は,今立町冠山の頂上近く,海抜700m のミズナラ林で,樹間が広く林床まで陽が入り,地面がよく乾燥した状態の場所である.この一帯で5 箇所に巣を認めた.近年の調査により,この生息域から1500m 離れた地域に3 個の巣を確認した.本種の生息地域は,上記の地域以外にも広範囲に存在すると考えられるが,生息するための環境条件がかなり限られるようである.
-
●存続を脅かす要因
-
生息域は,よく整備された登山道に沿って広がっていた.林道等の大規模な補修,舗装や車の乗り入れが,本種の生存を脅かしている.一方登山道の整備が放棄され,藪化して湿気を帯び,本種の生息に適さない環境となり,生息範囲が少なくなっている.
-
●参考文献
-
日本蟻類研究会.1991 .日本産アリ類の検索と解説(U).56pp .日本蟻類研究会.
|