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●種の特性
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丘陵地から山地にかけての湿原を流れる細流に生息する小型のサナエトンボで,北海道から本州東北部にかけて分布する日本特産種モイワサナエの北陸〜中国地方亜種である.丘陵地の廃棄水田内の細流にもしばしば生息する.成虫は県内では5 〜7 月に記録されている.
同属のダビドサナエやクロサナエに類似するが,雄は尾部付属器,雌は後頭孔上縁の突起の形状などにより区別できる.
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●生息状況
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富山,石川,福井,滋賀,京都,兵庫,岡山の各府県に局地的に分布する.
県内では美浜町の1 カ所で記録されているに過ぎない.生息地はハンノキなどの疎林を流れる砂底の細流で,幼虫は水際などの緩流部に堆積した砂泥に浅く潜り込んでいるのが観察される.同地での個体数は多いが,成虫は生息地の細流の周辺に限って見られる.
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●存続を脅かす要因
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県内では,現在1 カ所しか記録されておらず,今後調査が進んだとしても,生息地が多く見つかるとは限らないので,同地の埋立てや細流の護岸,周辺林の伐採などが本種の県内の生息状況に大きな影響を与える.
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●参考文献
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杉村光俊・石田昇三・小島圭三・石田勝義・青木典司.1999 .原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑.xxxv
+917pp .北海道大学図書刊行会,札幌. 和田茂樹.2000 .福井県からヒラサナエを初記録.Tombo .(42 ):69- 70 .
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