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●種の特性
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他のヨシノボリと同様,雄は沈み石の下面に産みつけられた卵を保護する.ふ化した仔魚は直ちに海に下り,2 〜3 ヶ月後に川へ遡上し,両側回遊型の生活をする.本種は暖流の影響を受けやすい半島や岬の先端付近で,流程が数km 以下のごく小さい川に集中して分布する傾向がある.
雑食性であり底生小動物や水生昆虫などを主体に,付着藻類も食う.雌雄とも胸鰭基底部に黒色三日月状の斑紋をもっている.雌は点線状の黒色縦帯が体側中央にあるので他のヨシノボリと区別できる.
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●生息状況
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千葉県および新潟県以南から南西諸島にかけて分布する.本県では越前海岸に注ぐ小河川,敦賀半島の小河川で確認されている.
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●存続を脅かす要因
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本種が好んで生息する流程が数km 以下の河川は,護岸工事で三面コンクリート張りにされてしまうところが多く,生息場所が非常に減少している.特に越前海岸の小河川はほとんどの河川が改修されており,このままでは今後生息できる可能性は極めて難しい.
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●参考文献
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福井県.1998 .福井県の陸水生物.203pp .福井県.
加藤文男・松田隆喜.1994 .福井県河川におけるヨシノボリ類5 種とカワヨシノボリの分布.福井市自然史博物館研究報告(41):63- 76 . 松田隆喜・加藤文男.1995 .福井県河川におけるヨシノボリ類5 種とカワヨシノボリの分布(続報).福井市自然史博物館研究報告(42):35- 40 . 水野信彦.1989 .クロヨシノボリ.日本の淡水魚.川那部浩哉・水野信彦編・監修:p.588 .山と渓谷社,東京. 中坊徹次編.2000 .日本産魚類検索.1748pp .東海大学出版会,東京.
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