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●種の特性
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湿田,蓮田,セリ田や生活排水が流れ込む休耕田のような環境に好んで生息している.
一妻多夫の婚姻形態で,雌の方が雄に比べ体が大きく,色彩も派手で,繁殖期には雌は「コーン,コーン」と鳴く.雄は,ほとんど鳴かない. 餌は,水や土の中に生息している昆虫やミミズなどの小動物と,イネ科などの植物の種子.
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●生息状況
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1970 年代後半に政府が打ち出した一割減反政策によって一時的に個体数は増えたが,その後は水田の乾田化と農薬の使用により,最近は数が著しく減少してきている.
本県では,かつては嶺北一円の平野部に広く分布していたが,数は多くはない.小さな群れを作って移動し,生活排水が流れ込む住宅団地の中の空き地など,思いがけない場所で観察されることがある. 県内で繁殖が確認されているが,多くは4 月下旬〜10 月上旬頃である.繁殖の最盛期は5 〜6 月頃で,秋期には小規模ながら渡りをする. 冬期,大部分は雪のない地域に渡去し,少数は県内でも越冬するものが認められる.嶺南地方でも繁殖例があり少数が生息している.
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●存続を脅かす要因
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本県の現在の稲作中心の営農において,湿田の乾田化,圃場整備,農薬等により餌となる水生動物が激減したほか,繁殖や隠れ場所の消失が本種の存続に危機的現状をもたらしている.
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●参考文献
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John Gooders その他.1971.Birds of the world (PPC- magazine)vol.3.
Peter Hayman,John Marchant,Tony Prater.1986.Shore- birds.412pp.CROOM- HELM. 上木泰男.1986 .雪国のタマシギ.40pp .岩崎書店.東京.
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