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●種の特性
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全長38 〜51cm ,翼開長84 〜120cm の中小型のワシタカ類で,周囲に海,河川,農耕地などの開けた環境がある断崖に生息し繁殖する.
餌のほとんどは小型から中型の鳥類で,高い位置で獲物を待ち伏せ,発見すると獲物の上空まで一直線に向かい,そこで急降下して,空中キャッチや蹴落としたりして捕らえる.
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●生息状況
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本種は南極大陸を除く広い範囲で繁殖し,寒地の個体は,温帯から熱帯に渡って越冬する.日本でも,北海道から九州の島嶼を含む広い範囲に生息する.
本県では,主に海岸で留鳥として繁殖するものと,非繁殖期に湖沼,農耕地,河川敷などに移動してくるものがいる.近年には,内陸部の断崖や市街地の人工物に定着しているものも観察されている.繁殖成績は良好であるが,断崖のある環境を選択して繁殖するために,個体数は多くない. また,限られた環境をめぐって縄張りに侵入する個体の観察例も増え,安定した繁殖を阻害している.
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●存続を脅かす要因
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断崖のある環境が少ない上に,落石の危険を防止するためにコンクリートが吹き付けられることが多く,本種の生息・繁殖環境を悪化または消失させている.また,密猟などの違法な捕獲の危険もある.
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●参考文献
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福井県.1999 .福井県のすぐれた自然 動物編.452pp .福井県.
高野伸二.1990 .フィールドガイド日本の野鳥.342pp .財団法人日本野鳥の会,東京. 中村登流・中村雅彦.1995 .原色日本野鳥生態図鑑〈陸鳥編〉.301pp .保育社,大阪. 森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995 .図鑑日本のワシタカ類.632pp .文一総合出版,東京. 日本鳥類目録編集委員会(編集).2000 .日本鳥類目録改訂第6 版.345pp .日本鳥学会,帯広.
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