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●種の特性
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全長51 〜59cm ,翼開長122 〜137cm の中型のワシタカ類で,平地から亜高山の林で繁殖し,冬期は河川敷,農耕地,干拓地,ヨシ原などでもよく見られる.ネズミなどの小型哺乳類,カエル,ヘビ,昆虫,鳥類などを,木にとまって待ち伏せたり,上空を停空飛翔を交えながら探索し,急降下して捕らえる.
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●生息状況
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本種はユーラシアの温帯・亜寒帯域とアフリカの一部で繁殖し,冬期はアフリカや南アジアに渡る.日本には3 亜種が生息しており,本亜種は北海道から四国で繁殖し,冬期は全国に渡来する.本県には,主に冬鳥として河川敷,農耕地,山林などで,ワシタカ類の中では普通に見られる.一方,嶺南地方や奥越地域では繁殖期にも生息記録があり,和泉村では繁殖している.しかしながら,繁殖する個体群はかなり少なく,冬鳥として渡来する個体群と違い貴重な存在である.繁殖個体群は個体数が少ないので,定期的なモニタリング体制を構築すべきである.気づいた時には消えていたということになりかねない状況である.
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●存続を脅かす要因
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これまでに県内で繁殖が確認されたのは,落葉広葉樹林やアカマツ林である.このような自然林の伐採は,本種の繁殖環境を悪化させる.
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●参考文献
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福井県.1999 .福井県のすぐれた自然 動物編.452pp .福井県.
高野伸二.1990 .フィールドガイド日本の野鳥.342pp .財団法人日本野鳥の会,東京. 中村登流・中村雅彦.1995 .原色日本野鳥生態図鑑〈陸鳥編〉.301pp .保育社,大阪. 森岡照明・叶内拓哉・川田隆・山形則男.1995 .図鑑日本のワシタカ類.632pp .文一総合出版,東京. 日本鳥類目録編集委員会(編集).2000 .日本鳥類目録改訂第6 版.345pp .日本鳥学会,帯広. 松村俊幸・門前孝也・加藤晃樹・久保上宗次郎.1992 .福井県におけるノスリの繁殖記録.Ciconia (福井県自然保護センター研究報告)1 :29- 33 . 小島幸彦.1996 .ノスリ.日本動物大百科 第3 巻鳥類T:167- 169 .
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