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●種の特性
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主に止水である池や湿原に春先に産卵する.産卵期のみ水に入り,繁殖行動が終われば,山間部の生息地に移動する.
本種の典型的な卵嚢は,透明な外層と白濁した内層とからなる.しかし本県産の卵嚢は内層が透明なタイプもあり,標高が高くなるにつれて透明な卵嚢が多く見られる傾向がある.また,卵嚢外皮に縦線が見られることも興味深い.
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●生息状況
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本州東北地方から中部地方に分布している.福井県は日本におけるクロサンショウウオの分布地として南限であり,生物地理学的に興味深い位置にある.また,緯度が下がるほど,生息地の標高は上昇する傾向がある.
福井県内での分布地は,石川・岐阜・滋賀県との県境の山岳地帯で,標高も1,000m 前後で高い.しかし,最近の調査で今立郡池田町の標高400m 地点で生息地が確認され,県内では標高が低い生息地として初記録となっている.
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●存続を脅かす要因
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繁殖地が主に山岳地帯の池であるので,直接には開発等の影響は受ける可能性は小さい.しかし,池田町の生息地については低標高であり,産卵場所としての水たまりが道路のすぐ脇にあるという点で人為的影響を受けやすい.
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●参考文献
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福井県.1998 .福井県の両生類・爬虫類・陸産貝類目録.141pp .福井県.
福井県.1999 .福井県のすぐれた自然 動物編.452pp .福井県
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