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●種の特性
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本種は全長80 〜120cm の小型サンショウウオで雌雄で著しい形態性差がある.雄は雌より大型で,頭部が三角形状であり,四肢が肥大し,種の特徴である繁殖期には尾鰭が竜骨状になり尾高も大きい.体色は黒褐色.
体側,四肢,腹部の表面に青白色の斑点が散在する. 本種は積雪厳冬期前の12 月上旬頃から,緩やかな水流のある溝・伏流水域に集まり,水底の落葉の間の中で繁殖.孵化は2 月中旬.変態は5 月中旬から遅くて6 月初旬である.卵嚢外皮上に横皺に直交する縦方向の条線が明瞭であり,卵列は2 〜3 列,巻数2 〜2.5 回のコイル状となる.
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●生息状況
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兵庫県の但馬地方,京都府下の丹後半島,福井県に分布.環境省委託業務調査等で,1998 〜99 年に嶺北の坂井郡北部,2000 年に武生市西部地域が調査され,他府県よりも広範囲に生息することが確認された.しかし,日本産小型サンショウウオの中でも分布域が極端に狭い.
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●存続を脅かす要因
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山麓帯の林内湿地や休耕田の周辺等に生息するため,道路建設,宅地造成などの土地改変や圃場整備による環境改変,ゴミの不法投棄による環境の悪化が存続を脅かす.他県では絶滅した地域がある.種の保存法により捕獲,殺傷等が禁止されているが,ペットマニアの不法採集も脅威になりつつある.さらに,集水域の森林の改変も産卵場所の水環境の悪化や成体の生息環境の悪化につながる.
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●参考文献
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福井県.2000 .環境庁委託業務報告書ー希少野生動植物保護増殖事業(アベサンショウウオ)調査報告書.116pp .福井県.
福井県.2000 .福井県版RDB 補完調査報告書.260pp .福井県.
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