九頭竜川水系(全体)の生息魚類リスト

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○●:調査での確認記録(●うち移入種) △:聞き込みによる記録
第1回調査期間(1964〜85年)  第2回調査期間(1990〜96年)
番号 魚種\調査 第1回 第2回 全調査 番号 魚種\調査 第1回 第2回 全調査 番号 魚種\調査 第1回 第2回 全調査
1 スナヤツメ 26 コイ 55 シマヨシノボリ  
2 カワヤツメ 27 ギンブナ   56 ルリヨシノボリ  
3 ウナギ 28 ナガブナ   57 オオヨシノボリ  
4 コノシロ 29 ゲンゴロウブナ   58 トウヨシノボリ   ○/● ○/●
5 イワナ   フナ類       ヨシノボリ類    
6 サケ 30 ヤリタナゴ 59 チチブ  
7 サクラマス 31 イチモンジタナゴ   60 ヌマチチブ  
7 ヤマメ 32 アカヒレタビラ     チチブ類    
8 サツキマス   33 カネヒラ   61 シモフリシマハゼ  
8 アマゴ 34 タイリクバラタナゴ 62 ウロハゼ  
9 ニジマス 35 ドジョウ 63 ウキゴリ  
10 アユ 36 スジシマドジョウ   64 スミウキゴリ  
11 ワカサギ   37 シマドジョウ 65 シマウキゴリ  
12 ウグイ 38 アジメドジョウ   ウキゴリ類    
  ウグイ   39 ホトケドジョウ   66 マハゼ  
13 アブラハヤ 40 ナマズ 67 アシシロハゼ  
14 タカハヤ 41 ギギ   68 クサフグ
15 オイカワ 42 アカザ 69 コチ  
16 カワムツB型   43 メダカ   70 クロソイ  
  カワムツ類     44 サヨリ 71 河川型カジカ  
17 ハス 45 クルメサヨリ   72 陸海型カジカ  
18 ビワヒガイ   46 陸海型イトヨ     カジカ類    
  ヒガイ     47 ボラ 73 カマキリ
19 カマツカ 48 カムルチー   74 ヌマガレイ
20 タモロコ 49 スズキ 75 イシガレイ  
21 ホンモロコ   50 ヒイラギ            
22 スゴモロコ   51 シマイサキ   科数 21 24 27
23 モツゴ   52 クロダイ   総魚種数 51 66 75
24 ニゴイ 53 オオクチバス     移入魚種数 10 12 16
25 ワタカ   54 ドンコ   在来魚種数 41 54 59


九頭竜川水系の魚類の生息状況
  • 第2回調査により、水系全体で24科66種(うち6科12種の移入魚)が生息し、第1回調査時より15種増加した。前後2回の調査では27科75種(うち7科16種の移入魚)が確認された。注目された魚類は、ウグイ(降海型)、ホトケドジョウ、ススジシマドジョウ、ヨシノボリ類の4種(シマヨシノボリ、オオヨシノボリなど)、チチブ類の2種、シモクリシマハゼ、ウキゴリ類の3種(ウキゴリ、スミウキゴリなど)である。また移入金ではアマゴから生じたサワキマス(降海型) 、ワカサギ、ビワヒガイ 、ホンモロコ 、スゴモロコ 、イチモンジタナゴ 、オオクチバスなどである。

  • 第1回調査では生息したが第2回調査では未確認の魚種は、メダカ、クルメサヨリ、降海型イトヨ、イシグレイの4種で、前3者はほとんど確認し難いほど減少した。第2回調査で確認されたが個体数の著しく減少した魚類は、スナヤツメ、カワヤツメ、ウナギ、イワナ、サケ、サクラマス(ヤマメ)、ヤリタナゴ、アカヒレタビラ、アジメドジョウ、スジシマドジョウ、アカザ、カジカの2種、カマキリなどであった。

  • 移入魚ではワタカ、ゲンゴロウブナ、カネヒラ、カムルチーの4種が今回は未確認で、河川で定着し難かったものと思われる。

  • 九頭竜川本流での流れに沿った魚の分布は、源流から九頭竜ダム湖上端まで(上流域上部)は、イワナ、アマゴ 、アブラハヤ、河川型カジカ、トウヨシノボリ が生息する。九頭竜ダム湖には、イワナ、ニジマス 、アマゴ 、オイカワ 、ウグイ、アブラハヤ、ホンモロコ 、モツゴ 、カマツカ、ニゴイ、コイ 、ギンブナ 、ギギ 、アユ 、トウヨシノボリ が生息し、多数の移入魚が生息した。

  • 支流真名川上流の真名川ダム湖には、ワカサギ 、アユ 、イワナ、ニジマス 、アマゴ 、オイカワ 、ウグイ、アブラハヤ、カマツカ、ニゴイ、ギンブナ 、ギギ 、トウヨシノボリ が生息し、ワカサギを除いて九頭竜ダム湖と似た魚類相がみられた。

  • 九頭竜ダム湖の下の和泉村朝日から下山付近まで(上流域中部)には、アユ 、アマゴ 、カマツカ、ウグイ、アブラハヤ、オイカワ 、アジメドジョウが生息するが、ダムの下手にあたり水量が乏しく、魚の生息数は少ない。

  • 大野市柿ヶ島から福井市森田まで(中流域)では、川幅が広くなり水量も増し、ニゴイ、カマツカ、アブラハヤ、ウグイ、オイカワ 、カワムラB型、フナ類、コイなどのコイ科魚類が主で、その他ナマズもかなり生息していた。回遊魚のアユ、ヨシノボリ類、ウキゴリ類、降海型カジカやカマキリ、周縁魚のボラ、スズキ、マハゼ、ヌマガレイも河口から溯上した。ボラ、スズキは鳴鹿堰堤(永平寺町鳴鹿)の直下まで(河口から約30q)、マハゼとヌマガレイは福井市中角付近(河口から約15q)まで溯上が確認された。

  • 鳴鹿堰堤には魚道があるが、降海型カジカ、カマキリなどの溯上力の弱い魚は、堰堤の上で確認できなかった。一方、堰堤の上にできた湛水域には、ニゴイ、ウグイ、カマツカ、タモロコ、モツゴ、アブラハヤ、ビワヒガイ 、イチモンジタナゴ 、スゴモロコ 、ナマズ、アユ、ドレコなどが生息し、中流域でありながら止水域を好む魚が多く生息した。とくにビワヒガイ 、イチモンジタナゴ 、スゴモロコ の3種は琵琶湖底稚鮎に混入して移入され、止水域に適応して生活しているものと考えられる。

  • 福井市高屋から下の下流域でもコイ、フナ類、ウグイ、ニゴイなどコイ科魚類が主である。河口付近の汽水域ではコノシロ、サヨリ、ボラ、スズキ、シマイサキ、マハゼ、クロソイ、シモフリシマハゼ、クサフグ、コチなどの周縁魚の他、ケチブの回遊魚も生息していた。



「福井県の陸水生物(平成10年3月 福井県)」より
福井県自然保護課