27.黒河林道 −ブナの国有林の探鳥地−
 嶺南地方では,数少ないブナ林が残っていて,敦賀市内からも近く四季折々に自然の変化が目で確かめられる林道で,週末にはハイキング気分で楽しむ人が見られます.黒河川沿いに歩くと,山野の野鳥と路傍に咲く山野草を楽しむことができます.
◆探鳥カレンダー ◆探鳥地の地図
◆探鳥ガイド
  • 敦賀市山地区から黒河川沿いに敦賀営林署跡まで車でゆっくり進んでみましょう.カワガラスが川面の石にひょっこり出てきたり,キセキレイやセグロセキレイが車に追われるように先へ先へと飛んでゆきます.林道沿いにはコナラ,ヤブツバキ,ウラジロガシなどが茂り,カラ類やカワラヒワ,ウグイスが鳴き競い,梢ではオオルリが高らかにさえずっています.
  • 30分ほどゆくと芦谷川付近に出ます.谷川沿いには,春にはオオバギボウシや草本のホトトギス,秋にはダイモンジソウやヤマシロギクなどが咲いています.
  • さらに30分ほどでブナ林が続く林道に入りますので,この辺りで車を止めて歩きましょう.林道脇には,春ならイワウチワやマルバキスミレなどの山野草も可憐な花を付けています.峠までは1時間30分ぐらいですが,オオルリやキビタキ,クロツグミに混じってアカゲラやアオゲラなどが迎えてくれます.
  • 5月に入ると夏鳥のブッポウソウの声を聞くことがあります.県内でも数少ない渡来地です.早朝の暗いうちにくれば,ヨタカやホトトギス,マミジロ,コノハズクなどのコーラスが林に響いているはずで,ブナ林の豊かさを再確認することでしょう.
  • 秋にはブナの黄色にカエデの紅色が錦を織りなし,やがては冬鳥の餌となるガマズミの実も赤く熟しています.ツグミやシロハラが地面で餌を探していますし,カラ類やエナガの群れが木々の梢でせわしなく餌を探しています.明るい林道ではアオジやカシラダカが,時にはミヤマホオジロが飛び立って道ばたの薮へ隠れたりします.木枯らしのとやみに耳をすまし,ルリビタキの「カッ,カッ」,ウソの「フィ,フィ」,ベニマシコの「ヒッ,ホッ,ホッ」を聞き分けて下さい.

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出典「福井の鳥とけものたち」(1998年3月 福井県自然保護課)