15.大滝神社周辺 −ブッポウソウが繁殖する社叢林−
 今立町大滝集落にある大滝神社から奥の院までの参道は自然林が多く残っています.特に奥の院付近はブナやクヌギの大木が社叢林として保護されていて,多くの野鳥たちの生息地となっています.参道を登るにつれてその静けさと幽玄な雰囲気が自然にとけ込む心を倍加してくれます.
◆探鳥カレンダー ◆探鳥地の地図
◆探鳥ガイド
  • 神社の大鳥居をくぐると左に荘厳な屋根と彫刻を施した社寺が見えます.イカルやカラ類の声を聞きながら大杉の並木をゆっくりと歩いてゆくと,ウグイスやホオジロが鳴き競っている雑木林に入ってゆきます.アオゲラのピョーピョーやコゲラのギィーという声も聞こえてきます.ヤブツバキの藪ではメジロが蜜を吸っています.
  • 4月下旬には気の早い夏鳥が渡ってきて,梢でクロツグミが鳴き,上空をサンショウクイが鳴きながら飛んでゆきます.5月中旬に,谷筋から聞こえるコマドリの声に混じってメボソムシクイの声が聞こえてくると,いよいよ森も深くなってきたことを感じます.
  • 参道でピョンピョンと跳ねているトラツグミに出会ったり,クロツグミの幼鳥を見つけたりすると自然林の豊かさを感じます.奥の院は,ブナ林に囲まれた静かな佇まいを呈しています.このブナの幹にはキツツキ類によると思われる穴が随所に見られ,過去にはブッポウソウも繁殖していました.ここに立つと,遠くからツツドリやホトトギスの鳴き声が聞これ,間にブッポウソウのダミ声が混じると今年もきてくれたね,と嬉しくなります.
  • この奥の院までは神社から1.5kmぐらいですが,3時間ほどかけてのゆったり探鳥は深山の野鳥を満喫するには十分です.さらに20分ほどで天然記念物の大杉があり,すぐに尾根道に出ます.この辺りでニホンカモシカに出会うこともあります.秋には騒がしいヒヨドリや枝移りしながら採餌しているカラ類,エナガをはじめ冬鳥のツグミ,シロハラなどのほか静かな声のウソやルリビタキなどを参道脇で見られるのが晩秋の楽しみです.

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出典「福井の鳥とけものたち」(1998年3月 福井県自然保護課)