78(若丹山地)南川中流地区−−−−−5万分の1地形図【小浜】−−−−−−

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔鳥 獣〕〔爬虫類等〕〔陸水生物〕

78 南川中流地区                                      [⇒位置図]

〔概 要〕
 南川の中流から上流域にかかる地区で、地質的に名田庄東部地区と一連で、河
岸には低位段丘がよく発達している。植相では、二次林の安定したヤマツツジ−
アカマツ群集及びヒサカキ−コナラ群集(仮称)が分布している。
 爬虫類等では、オオサンショウウオが、確認された記録がある。
 この地区内の南川は、河床が安定しており付着藻類の着生および水生昆虫の生
息状況は良好で、細流にはホトケドジョウが生息し分布上注目される。


〔地形・地質〕
 この地区の中・古生層は、主として頁岩、砂岩からなり、名田庄村久坂近くで
はスランプ礫岩層がみられる。地質的には名田庄東部地区と一連である。南川沿
いには、比高の小さい低位河岸段丘が分布する。


〔植 物〕
 南川の中流から上流にかかる地区の山地で、標高200mから400mぐらいまでの
山麓部を中心に、ヤブツバキクラス域の代償林帯が優占する。また、尾根沿いで
はアカマツ林、斜面沿いには、クリ−コナラ林が、それぞれ優占する。
 それらの林間及び林床には、ヒサカキ、サイゴクミツバツツジ、ナツハゼ、
ヤマツツジ、タムシバ、オオバクロモジ、アクシバ、チゴユリなどが優占し、
ヤマツツジ−アカマツ群集及びヒサカキ−コナラ群集(仮称)が識別される。
 本県におけるヤブツバキクラス域における代償林の代表的な林相を持つ安定し
た林帯として、注目される。


〔鳥 獣〕
 二次林帯が多く、鳥相は普遍的で、河川敷および水面の鳥の生息も見るべきも
のはない。


〔爬虫類等〕
 両生類のオオサンショウウオが、南川上流域の槙谷川で確認(1983)した記録
(名田庄村村誌)がある。


〔陸水生物〕
 (藻類)
 久坂がこの地区に該当する。1ヶ所のみの調査であるが、藍藻2、珪藻37、緑
藻1、計40種が確認できた。河床の状態は安定していて付着藻の着生状態はよい
。清水性の藍藻ホモエオスリックス属が優占した付着藻フローラを形成していた
。
 (水生昆虫類)
 河川形態はBb型、流水量は多くなり、河床礫の安定度も良い。水生昆虫は中流
域特有の生息状況を示す。ヒゲナガカワトビケラ、
チャハネヒゲナガカワトビケラが優占し、シマトビケラ属も多く、現存量は多い
。また種類数も多く、水生昆虫の生息状況は良好である。
 (魚類)
 久坂と三重で、スナヤツメ、アユ、ムギツク、ウグイ、カワムツ、オイカワ、
シマドジョウ、アカザなど10種の生息が確認された。この中でムギツクの分布が
注目される。
 (水生及び湿生植物)
 南川中流地区では、不安定帯を中心に、ツルヨシの群落がひろがり、小溜水部
には、シロネ、フサモ、オオカナダモ、チョウジタデ、ホシクサ、アゼガヤツリ
、オオイヌタデなどがかなり高頻度に分布し、群落としては、やや不明確である
が豊富な植相を呈する。
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(この地区の情報は BEATLES さんに入力を協力していただきました)