73(若丹山地)高浜地区−−−−−5万分の1地形図【小浜】−−−−−−−−

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔鳥 獣〕〔昆 虫〕〔爬虫類等〕〔景 観〕

73 高浜地区                                       [⇒位置図]

〔概 要〕
 高浜町及び湾内鷹島を主とする地区で、山地は中・古生層と、それに貫入した
塩基性岩類から構成され、海岸部には浜堤〜砂丘が続く。城山公園、大島半島は
陸けい島である。
 鷹島は、ごく小さい離島であるが、汀線付近から島頂までタブノキ林が優占し
、その林間にはナタオレノキが分布する。また林床にムサシアブミが分布するな
ど生態地理学的に貴重な植生相が形成されている。昆虫相も、蒼島・冠者島と同
様に典型的な照葉樹林特有なもので、学術上貴重である。
 鳥類は、ヒヨドリが優占しているが普遍的であり、種類・個体数ともに少ない
。
 和田、高浜の海浜地は、白砂青松の海岸風景を呈して、大島半島の海蝕崖や城
山、鷹島、秀麗な山容の青葉山などを臨む風致に富む砂浜海岸である。


〔地形・地質〕
 この地区は、若丹山地の北縁部にあり、あまり起伏の著しくない山稜が北方へ
次第に低くなっており、壮年期の地形を呈する。青戸の入江をはさんで北の半島
部は和田の砂嘴によって連絡された陸けい島で、また高浜町城山公園も小陸けい
島をつくっている。和田から西三松までは砂丘が発達している。
 山地部は若丹山地に分布する中・古生層があり、海岸よりにはそれに貫入した
夜久野貫入岩類が北東−南西に延びている。両者の方向はほぼ一致している。中
・古生層は主として千枚岩質粘板岩からなり、一部レンズ状のチャート、砂岩を
挟んでいる。この粘板岩は暗灰色を呈し、層理面が発達する。佐分利川以南にな
ると、堅硬な厚いチャートが発達してくる。一般にNE−SWの走向で北へ急傾斜す
ることが多い。中・古生層の時代については未詳であるが、三畳紀頃と推定され
ている。


〔植 物〕
 高浜町、湾内鷹島を主とする地区で、温和な小湾内環境にあって、暖地性常緑
広葉樹林及び代償林アカマツ林を主とする森林植生がよく残存されている。
 鷹島は、ごく小さい離島であるが、汀線付近から頂上付近までタブノキ林が優
占し、その林冠には、全体的に40本以上に及ぶナタオレノキが生育しているのは
極めて重要である。また、林床に、ムサシアブミが分布すること、また、同島の
海岸汀線付近にモクゲンジが分布することも区系地理学的に極めて貴重である。
 組成的には、林間にヤブツバキ、トベラ、ヤブニッケイ、モチノキ、林床にベ
ニシダ、キノクニスゲ、ツルグミ、ヨウシユヤマゴボウなどが優占し、典型的な
照葉樹林の林相が保存されている。
 高浜町の南側山地の山麓には、暖地性常緑広葉樹林が残存し、それらの中で、
特にヤマモモが高頻度に分布しているのが注目される。


〔鳥 獣〕
 海岸および海面ではウミネコの他に、春秋のシギの渡りに小数が立寄ることも
あるが、良好なシギの採餌地とはならない。福谷坂峠付近はアカマツが混淆する
二次林で、馬居寺、福谷、三森地域の林相も特に優れているとはいえず、
ヒヨドリを優占する一般的な鳥獣相を示すものと思われる。


〔昆 虫〕
 鷹島は照葉樹林に覆われている小島であるが、それと密接に関連して
アミダテントウが極めて多い。アミダテントウは若狭湾に面した照葉樹林の海岸
地方と島嶼を特徴づける昆虫としてあげられるものである。また、同じくセミ類
では暖地性のクマゼミが優占種となっており、その他のセミではミンミンゼミ、
アブラゼミの生息が確認された。蝶ではアオスジアゲハが多く、暖地性の
ヒナカマキリの記録も注目され、その他の昆虫でも、暖地性または海浜性種のも
のが多い。高浜の海水浴場からボートで容易に入島できる距離にあるので、今後
の自然環境の保全に十分留意する必要がある。
 内陸部市街地に隣接した丘陵地には、ハナバチ類をはじめとして蜂類が豊富で
ある。また、生息地がかなり限定され、暖地性傾向のあるツマグロチョウが多い
。


〔爬虫類等〕
 両生類のオオサンショウウオ科、オオサンショウウオが、川上川水系でしばし
ば確認されていた。近時この水系の改修が行われて、今後のこの動物等の生息に
どう影響するかが懸念される。


〔景 観〕
 和田・高浜の海岸は、花崗岩の崩壊風化した砂浜で、その浜に風衝林として植
林されたクロマツ林が老成木となり、しかも自然林の如き様相を呈して、白砂青
松の美しい海岸風景がつくられている。遠浅で海水は清く澄み、大島半島の海蝕
崖や城山、鷹島、秀麗な山容の青葉山なども望むことが出来、頗る海岸の風致を
高めている。
 砂浜地の西端に突出する城山は、周囲に海蝕崖や奇岩に富む岩礁を配した景勝
地で、単調な海岸線の砂浜に変化を与えて、頗る海岸の風致を高めている。
 高浜市街の背後にある坂田、子生、佐分利川上流の三森、川上の地域にわたる
山々は、海抜200〜300m内外の低山性の山で、ヤマツツジ−アカマツ林の群落が
多く、谷間に点在する集落は、生活風景が自然と良く融けあって、若狭らしい農
山村の景観を比較的よくとどめている。
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(この地区の情報は BEATLES さんに入力を協力していただきました)