70(三遠山地)北川下流地区−−−−−5万分の1地形図【鋸崎】【熊川】−−

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔鳥 獣〕〔陸水生物〕〔景 観〕

 70 北川下流地区                                   [⇒位置図]

〔概 要〕
 北川及び江古川が貫流する小浜(沖積)平野の臨海部で、特に江古川の水中に
は、本県では他に類のない多量のコウホネ、オオカナダモ、マコモの群落が分布
している。北川の河原には、ツルヨシ−メドハギ群落及びケイヌビエ−
カヤツリグサ群落が見られる。
 鳥類では、河口部にカモメ類が多数飛来している。
 陸水生物では、河川の水質が保たれ、魚類ではムギツクが生息し、分布の東限
(日本海側)として注目される。


〔地形・地質〕
 小浜市の臨海部に近く、北川と南川の作る沖積平野(小浜平野)である。


〔植 物〕
 小浜市の東側から上中町への平野部を北川が貫流する一帯で、ほとんど水田に
よって占められる低自然度の地区である。
 北川の河原には、ツルヨシ−メドハギ群落が、半安定帯の代表的な植生帯を構
成し、それらに、ケイヌビエ−カヤツリグサ群落が散在する。


〔鳥 獣〕
 河巾が狭く、河原やヨシ原も少なくカモ類、サギ類、シギ類の生息には適した
環境とは云えない。


〔陸水生物〕
 (藻 類)
 高塚地点の調査結果である。一ヶ所のみであるが藍藻4、珪藻59、緑藻2、計
65種が確認できた。藍藻のホモエオスリックス属、メロシラ属、
フナガタケイソウ属、クチビルケイソウ属などが多くみられた。
ホモエオスリックス属は清水性水域の代表的な藍藻であり、北川は下流域まで汚
染が進んでいないといえる。
 (水生昆虫類)
 河川形態はBc型、水生昆虫は下流域の生息状況を示す。現存量、種類数とも
に多くはなく、特記事項もない。
 (魚 類)
 アユ、イトモロコ(移入魚)、ムギツク、カマツカ、ウグイ、カワムツ、
オイカワ(移入魚)、フナ、コイ、ヤリタナゴ、タイリクバラタナゴ(移入魚)
、ドジョウ、ヨシノボリなど18種が確認された。一般の下流域の魚類と同様であ
るが、イトモロコは近年移入されたようである。これらの中でムギツクの分布が
注目される。
 (水生植物)
 北川及び江古川(支流)が含まれ、江古川の水中には、コウホネ、
オオカナダモ、マコモの顕著な群落が分布し、ウキシバやフサモが散在し、本県
の中小河川では、貴重な水生植物群落が見られる代表的なもののひとつである。


〔景 観〕
 小浜市の東郊外で、都市化が次第にすすみつつある地である。伏原の背後にあ
る後瀬の山は、アカマツ林の群落が分布する海抜224.9mの低山性の山であるが
、万葉の歌人はこの山の自然の美しさを詠んだ秀歌を多く残しているもので、こ
の山の自然景観は、一見平凡の様であるが、文学的な詩情と深いかかわりのある
歴史的景観として貴重である。
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(この地区の情報は BEATLES さんに入力を協力していただきました)