57(野坂山地)東浦地区−−−−5万分の1地形図【今庄】−−−−−−−−−

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔鳥 獣〕〔景 観〕

57 東浦地区                                         [⇒位置図]

〔概 要〕
 この地区の山脚部は中・古生層から構成され、その間に小規模な平地が散在す
る。陸けい島のみられる横浜付近では、白亜紀末の流紋岩と、それらを貫く花崗
岩がみられ、砂浜が僅かにみとめられる。
 植相は、イノデ−タブノキ群集及びヤブコウジ−スダジイ群集モチノキ亜群集
の典型的な林叢が、部分的であるが残存している。ビワの自生、マメヅタや
ツワブキの分布が注目される。一部にミカンの栽培が行われている。
 鳥類の生息状況は一般的であるが、カケス(漂鳥)が南下し、ハチクマ(夏鳥
)が北上する径路となっている。


〔地形・地質〕
 野坂山地が敦賀湾にのぞむ沿岸部には、山脚部の間に小規模な平地が散在する
。敦賀市杉津〜江良間の山脚部は砂岩・頁岩を主とする中・古生層から、また敦
賀市横浜〜元比田間は、中・古生層中に貫入した花崗閃緑岩(いわゆる新期花崗
岩)から構成されている。岡崎付近の陸けい島の孤立丘陵部は、白亜紀後期の面
谷流紋岩類から構成され、これも花崗閃緑岩に貫入される。
 平地部の中で、田結・五幡は小さい沖積低地であるが、杉津付近のものはやや
規模が大きく傾斜の急な平地で特異である。後者は敦賀市西浦地区のそれと同じ
く旧扇状地性の低位段丘とみられ、扇状地礫層からなっている。これを被って新
扇状地〜崖錐性礫層が薄く存在するらしい。


〔植 物〕
 敦賀湾にのぞむ東浦海岸は、背面の山地斜面が緩急を含め沿岸まで近接する。
緩やかな斜面地形を呈する杉津海岸付近では、非常にすぐれた海岸景観が構成さ
れる。
 東浦海岸では、タブノキ林及びスダジイ林による照葉樹林が顕著であり、それ
らの林内を中心に、暖地性要素が高頻度に分布している。また、沿岸斜面では、
かなり広範囲にわたって、ミカンの栽培が行われ、最近では、品種改良も進め、
生産性を高めて来た。
 それらの分布の中で、ビワの自生、マメヅタ、ツワブキなど注目される種数も
見られる。
 照葉樹林の極相林叢は、主として、沿岸の神社の社叢を中心によく残存されて
いる。それらの林相には、林間にヤブツバキ、サイゴクミツバツツジ、シロダモ
、モチノキ、ヤブニッケイ、アセビ、キンキマメザクラ、ウラシマソウ、トベラ
、ベニシダ、ヤブラン、オニヤブソテツ、テイカカズラ、マルバグミ、
ムラサキシキブやヤマコウバシなどが分布し、スダジイ林では、ヤブコウジ−
スダジイ群集のモチノキ亜群集及びタブノキ林では、イノデ−タブノキ群集の典
型的な組成を示す。また、沿岸の社叢には、老令巨木に育ったスダジイ、
タブノキの残存しているのが注目される。


〔鳥 獣〕
 カケス(漂鳥)が南下し、ハチクマ(夏鳥)が北上する径路ともなっているが
、鳥類の生息状況は一般的である。


〔景 観〕
 東浦海岸は、背後に海抜500m〜700mの山を負う海岸で、山地斜面は急傾斜を
つくって海に落ち、小さな谷がつくる狭い海岸には五幡、阿曽、杉津、横浜、大
比田、元比田などの漁村が、恰かも敦賀湾対岸の西浦地区に呼応するかの様に点
在し、この海岸特有の風土的情緒性の感じられる海岸風景がみられる。対岸の西
浦海岸をのぞむ景色も美しい。
 山はクリ、コナラ林が主で、谷地形にはスギ林、水田、ミカン畑が点在し、上
るにしたがいクリ、ミズナラ林、山頂付近には一部にブナ、ミズナラ林も遺存す
るなど、谷地形以外はまだ自然をよくとどめている眺めがみられる。
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(この地区の情報は BEATLES さんに入力を協力していただきました)