42(南条山地)春日野地区−−-5万分の1地形図【鯖江】−−−−−−−−−-

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔鳥 獣〕〔昆 虫〕〔景 観〕

 42 春日野地区                       [⇒位置図]

〔概 要〕
 この地区は、南条山地の北西部に当り、山地を構成する中・古生層の構造は
複雑で、一般に表層風化が進んでいる。
 植生は、代償林としては均質で、基礎自然度が著しく大きいことが特徴的で
ある。
 武生いこいの森の遊歩道は、針広混交で周辺の鳥類の集まる環境を有し、
ヒヨドリ、ホオジロ優占ながらヤマガラ、シジュウカラ、メジロなどの生息が
見られ、墓地公園でのイカルチドリ、コチドリの繁殖がある。
 昆虫では、調査は不充分であるが、白崎の溜池でエゾイトトンボが採集され
たのは特筆に価する。


〔地形・地質〕
 この地区の東よりの国道8号線沿いに、僅かに谷底低地がみられる。南条山
地の北西部に属するが、地形的に特記することはない。
 地質的には、主として砂岩・頁岩・緑色岩からなる中・古生層から構成され
ており、この付近の構造は複雑である。一般に風化も進み、表層部が赤褐色化
する場合が多い。


〔植 物〕
 南条山地の北端部に位置し、春日野の北側にひろがる標高398m以下の低丘
陵地形である。
 典型的な代償林帯であり、殊に、全域にわたってクリ−コナラ林が非常に安
定した組成をもち、階層も発達した二次林相が分布し、本県においても、最近
減少してきたクリ−コナラ林の中で、最も代表的な地区のひとつであると考え
られる。
 組成的には、特に林間にマルバマンサク、ヤマツツジ、ネジキ、
コバノガマズミ、コバノトネリコ、ナツハゼ、サイゴクミツバツツジ、
キンキマメザクラ、アクシバ、ムラサキシキブ、ヤマウルシ、ヒメアオキなど
、代表的な低木がほとんど分布し、それらが比較的均質に分布して、非常に高
い自然度を示す。
 ごく最近に土地造成等の目的で、伐採が極めて著しく進められてきたので、
今後、それらの林相を保存できるよう計画すべきである。


〔鳥 獣〕
 武生いこいの森、遊歩道を残して一帯は伐採されている。遊歩道周辺は針広
混交林で周辺の鳥類の集まる環境を有し、ヒヨドリ、ホオジロ優占ながら
ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、イカル、ウグイス、アオゲラ、コゲラの生
息、サシバ、ヤマドリ、墓地公園でのイカルチドリ、コチドリの繁殖があり、
夏鳥にサンショウクイ、センダイムシクイ、オオルリ、ヤブサメ、キビタキ、
冬鳥にマヒワの群、カシラダカ、アオジ、ジョウビタキを見る。
 一帯のアカマツは枯死が目立ち、妙法寺町のアカマツ林では130巣前後の
アオサギの数少ない繁殖地であるが、このマツも枯死が目立っている。
 森林状態は一般的であるが、イカルチドリ、コチドリは日野川の砂利原が失
われた代償地として造成された墓地公園環境を利用しているのであろう。


〔昆 虫〕
 昆虫の調査は不充分であるが、白崎の溜池でエゾイトトンボが採集されたの
は特筆に価する。


〔景 観〕
 もと有料道路であった国道8号線が開通するまでは、「春日野越」で知られ
た峠のある山で、全体的にはクリ、コナラ林が、また山の尾根には風致性に富
んだアカマツの老木が分布していて、峠の道に風情を添えている。
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