41(南条山地)魚見地区−−-5万分の1地形図【大野】【冠山】−−−−−−-

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔景 観〕

41 魚見地区                            [⇒位置図]

〔概 要〕
 この地区の地形・地質は、南条山地に属し、中・古生層から構成される。東
西性の走向を示し、北方へ傾斜する。その時代は未詳である。
 植物相では、唐木岳を中心とする低山地であるが、クリ−コナラ林、クリ−
ミズナラ林、ブナ−ミズナラ林のそれぞれが、階層、被度等組成要素が極めて
豊富であり、分散が均質で安定していることが生態地理学的に貴重である。基
礎自然度が高いのが注目される。


〔地形・地質〕
 この地区は、海抜700m級の南条山地に属し、池田町中出、定中を通る北東
−南西方向の河谷が比較的発達している。
 東西性の走向をもち、北側へ傾斜する砂岩・砂岩頁岩互層からなる中・古生
層が広く分布しているが、時代は未だ判明していない。


〔植 物〕
 南条山地の東側山地、武生市の南側の唐木岳(738.1m)を中心とする低山
地で、夏緑広葉樹林の代償林帯であるが、あまり伐採も行われておらず、特に
一部に、ブナ−ミズナラ林及びクリ−ミズナラ林の典型林相を含め、高い値の
基礎自然度を示す。
 組成的には、日本海地域固有種が多種類分布し、オオバクロモジ−ブナ群集
に共通する安定した林相が構成されている。
 谷筋には、広範囲にわたってスギ植林が分布し、林間にイヌガヤが優占し、
他地区に比較すると階層も自然的な構成をもち、基礎自然度も高い値を示す。
 以上の通り、低山地で代償林地域であるが、均質な安定した高い基礎自然度
が特徴である。この地区の保全については、今後全域にわたって自然更新下に
おくべきであろう。


〔景 観〕
 魚見川の水源地帯の、海抜700m〜750mの高さを有する中山性の山地で、山
麓の谷地形の一部には、スギの植林がなされているが、大部分の地はクリ、
コナラ林、クリ、ミズナラ林を主とする落葉広葉樹林で、山頂付近では典型的
なブナ、ミズナラ林も分布していて、この山の林相景観には、原生自然に近い
姿がみられる。
 この地域の山地は、かつて宅良谷を中心に木地師が活動した地で、木地の生
産にはブナ、ミズナラ、トチ等の落葉広葉樹が、盛んに素材の対象とされたも
のであったが、その生産には、林相の変貌を招くような伐採を行わず、主とし
て間伐によってなされていったので、今日まで原生自然に近い姿が残されたの
であろう。貴重な自然景観である。
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