24(越前中央山地)城山地区−−−−−−-5万分の1地形図【永平寺】−−−-

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔景 観〕

 24 城山地区                                        [⇒位置図]                

〔概 要〕
 この地区は越前中央山地の北端部に位置し、一帯は中新世前期の糸生累層か
ら構成される。
 標高500mまでの低山地、特に城山付近では、クリ−コナラ林、アカマツ林
及びクリ−ミズナラ林など代償林が、規則的に垂直分布する森林帯を構成して
いる本県の代表的な低山地代償林帯である。マルバマンサク型クリ−ミズナラ
林も、本県のミズナラ林の中で代表的なものである。


〔地形・地質〕
 この地区は越前中央山地の北端に位置し、海抜500m以下の山地で、満壮年
期的状態を呈している。全体が中新世前期の糸生累層からなり、主として安山
岩質溶岩および凝灰質角礫岩から構成されている。その構造、岩相共に変化に
富んでいる。


〔植 物〕
 永平寺川右岸に接する城山(473.8m)の西側及び南側斜面山地である。
 この地区の森林植生は、山麓からスギ植林、クリ−コナラ林、アカマツ林及
びクリ−ミズナラ林のこの二次林で、代償林が非常に顕著な垂直林帯を構成し
ており、人為的な影響が少なく、組成的に均質で安定した林帯である。階層も
発達しており、基礎自然度が高い値を示している。
 それらの中で、クリ−ミズナラ林では、林間に日本海地域固有要素が多種類
分布し、特にマルバマンサク型の多雪地群落型を示すことから、植物区系地理
学的にも生態地理学的にも貴重である。
 また、山頂付近の尾根沿いのアカマツ林は、サイゴクミツバツツジ型
ヤマツツジ−アカマツ群集組成を示し、クリ−コナラ林も、ヤブツバキクラス
域代償林よりも、むしろブナクラス域代償林組成に近いことから、それらも、
本県の二次林相の中で非常に貴重な林帯であると考えられる。
 本県の二次林帯において、多雪型林相を呈するヤブツバキクラス域代償林の
群落系統を明確にする必要性を持つ自然環境、植物生態系のひとつである。
 この地区の環境保全に対しては、特に、クリ−コナラ林から山頂にわたる林
帯を対象にすべきであろう。


〔景 観〕
 花谷、寺本等の集落の背後にある低山性の山で、クリ、コナラ林等を主とす
る落葉広葉樹林、スギ林、アカマツ林等が混在しているが、中でも巨木も混じ
るアカマツ林が広範囲にわたって分布し、風致に富む林相景観を示している。
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