20(大野勝山盆地)塚原野地区−−−5万分の1地形図【荒島岳】−−−−−−

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔鳥 獣〕〔昆 虫〕〔景 観〕

 20 塚原野(ツカノハラ)地区                     [⇒位置図]

〔概 要〕
 大野盆地の東側には塚原野台地があり、流れ山(泥流丘)地形が認められる
。これは経ヶ岳火山から由来した洪積世の泥流堆積物で構成される。植物では
自然度は低いが、渓谷及び河床植生がすぐれている。
 鳥類では、水田及び集落地区、真名川河川敷にセグロセキレイを見る他、
ハシボソガラス、スズメ、ホオジロ、ヒヨドリの村落型鳥類が生息する。


〔地形・地質〕
 大野盆地の東側で、真名川と九頭竜川にかこまれた地区に、盆地面との比高
30m内外の塚原野台地が広がっている。台地面上には多数の流れ山が散在して
いたが、戦後開拓されて現在ではほとんど残っていない。このような流れ山地
形の存在は全国的にも珍しい。
 この台地は、経ヶ岳火山から由来した洪積世の泥流堆積物から構成されてお
り、その起源は山体の崩壊と関係があろう。東側対岸の伏石付近にも類似の堆
積物がみとめられる。その上位を火山扇状地性礫層が、さらにその上位に黒ボ
クが厚く分布していることが多い。この泥流堆積物の表層部には、巨大な岩塊
を核とした小丘(流れ山)ができている。


〔植 物〕
 九頭竜川と真名川にはさまれた台地で、水田耕地と集落からなる自然度の低
い地区で植生上特筆されるものはない。


〔鳥 獣〕
 真名川河川敷にセグロセキレイを見る他、ハシボソガラス、スズメ、
ホオジロ、ヒヨドリ等の村落型鳥類が生息する。


〔昆 虫〕
 ジャコウアゲハが分布し、これは奥越での唯一の確実な生息地である。生息
地が年々狭くなり、絶滅が心配される。


〔景 観〕
 この台地は、九頭竜川の対岸にそびえる経ヶ岳火山の泥流堆積物によって出
来たもので、かつてはクリ、コナラ、スギ、アカマツ林等を主とする雑木林の
野であった。戦後、開拓が進められて水田となり、堆積物、雑木林の原生自然
の姿が著しく失われてしまったが、今もなお、所々に泥流堆積物、岩塊等の一
部が遺存しており、その景観は、経ヶ岳火山の事実を伝える記念物として、学
術的にも貴重な自然景観である。
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