○ 浮遊粒子状物質自動測定機の測定原理

 浮遊粒子状物質は、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示第25号)において、「大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が10μm以下のものをいう。」と定義されています。
 環境基準および緊急時の措置に係る測定法としては、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示第25号)および大気汚染防止法施行規則第18条において、光散乱法、圧電天 びん法、ベータ線吸収法を用いることになっています。
 現在、大気汚染常時監視に用いられる自動測定機の中では、ベータ線吸収法による機器が多く普及しており、福井県においてもこの方法により測定しています。

(ベータ線吸収法)
 ベータ線吸収法は、低いエネルギーのβ線を物質に照射した場合、その物質の質量に比例してβ線の吸収量が増加する原理を利用する測定方法です。
 自動測定機では、ろ紙上に捕集した粒子状物質にベータ線を照射し、透過β線強度を計測することにより、浮遊粒子状物質の質量濃度を測定します。 β線源として、ブロメシウム147(147Pm、半減期 2.623年、最大エネルギー0.225MeV) または炭素14(14C、半減期5730年、最大エネルギー0.156MeV)の3.7MBq( 100μCi)以下の線源が用いられています。
 透過β線強度と捕集された粒子状物質の質量との関係は、次式のとおりです。 質量吸収係数μmは、粒子の組成によらずほぼ一定であるとみなせるので、IとI0 の比からXm を求めることができます。

ln(I0/I)=μm・Xm

ろ紙と捕集粒子状物質をともに通過したベータ線強度
μm質量吸収係数(cm2/g)
0ろ紙のみを通過した透過ベータ線強度
Xm粒子状物質の質量(g/cm2

 ベータ線吸収法において、捕集粒子状物質によるβ線の吸収の程度は、線源と検出器の間における線源部保護膜、ろ紙、検出部保護膜等による β線吸収量の約1%程度の変動を測定しているにすぎません。


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