○ 二酸化硫黄自動測定機の測定原理

 環境大気中の二酸化硫黄を自動的に連続測定する測定機としては、JIS B 7952 において、紫外線蛍光方式、溶液導電率方式に基づくものが規定されており、電量方式及び定電位電解方式については参考として示されています。
 環境基準および緊急時の措置に係る測定法としては、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示第25号)および大気汚染防止法施行規則第18条において、溶液導電率法または紫外線蛍光法を用いることになっています。
 福井県では、現在、紫外線蛍光法により測定しています。

(紫外線蛍光法)
 試料大気に比較的波長の短い紫外線を照射すると、これを吸収して励起した二酸化硫黄分子が基底状態に戻る時に蛍光を発します。
 この蛍光の強度を測定することにより、試料大気中の二酸化硫黄の濃度を求めることができます。
 二酸化硫黄は、190〜230nm、250〜320nmおよび340〜390nmの3つの波長領域に吸収帯を持ちますが、吸収強度の最も大きい190〜230nmの波長帯の紫外線(通常は波長210〜220nm付近の紫外線)が励起光として用いられています。
 反応機構は、次のとおりです。

 SO+ hν →SO ・・・・・・(1)
 SO → SO + hν ・・・・・・(2)
 SO → SO + O (解離) ・・・・・・(3)
 SO + M → SO+ M ・・・・・・(4)

  hν : 入射光
  hν : 蛍光
  SO : 励起された二酸化硫黄
  M : 共存分子

 式(1)は、入射光により二酸化硫黄が励起されることを、式(2)は、励起された二酸化硫黄分子が基底状態に戻る時に蛍光を発することを示しています。
 式(3)は、励起分子が解離することを、また式(4)は、共存分子Mと励起された二酸化硫黄が衝突して光エネルギ−を失う消光現象(クエンチング)を起こすことがあることを示しています。
 蛍光強度Ifは、次式によって表されます。

 fa
 If────────  ・・・・・・(5)
 f+Kd+Kq[M]

  Ia : 式(1)における入射光の吸収強度
  Kf、Kd、Kq : 反応速度定数
  [M] : 分子Mの濃度

 一方、ランベルト・ベールの法則により、Iaは次の式で表されます。

 Ia= I0 (1-e-ε l c) ・・・・・・(6)

  I0 : 入射光強度
  ε : 二酸化硫黄の吸光係数
  l : 光路の長さ
  c : 二酸化硫黄の濃度

 I0 が一定であれば、二酸化硫黄が低濃度の場合には、式(6)は次の近似式で表されます。

 Ia = I0・ε・l・c ・・・・・・(7)

 これを式(5)に代入すると、次式が得られます。

 f0 ε l c
 If────────  ・・・・・・(8)
 f+Kd+Kq[M]

 すなわち、式(7)が成立する範囲内では、蛍光強度は二酸化硫黄濃度に比例し、蛍光強度を測定することによって二酸化硫黄を定量できます。


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