○ 微小粒子状物質自動測定機の測定原理

 微小粒子状物質(以下「PM2.5」という。)は、我が国では「大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5μm の粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう」と定義されています。
 環境基準に係る測定法としては、「微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準について」(平成21年環境省告示第33号)において、「濾過捕集による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法」によることになっています。
 従来、諸外国や我が国で環境基準が設定されてきた粒子状物質の環境大気中質量濃度の測定法としては、ろ過捕集による質量濃度測定法(以下「フィルター捕集−質量法」という。)が基本的な測定法であり、欧州を含む諸外国においては、PM2.5(粒径2.5μm 、50%カット)を測定する標準測定法として、米国EPAの連邦標準測定法(Federal Reference Method、FRM)に準じたフィルター捕集-質量法が用いられています。また、微小粒子は粗大粒子に比べ湿度や気温等の影響を大きく受けますが、FRMは、水分や半揮発性物質の影響による測定値の差異を極力取り除けるよう細部まで規格化されている測定法です。
 以上のことから、我が国のPM2.5の標準測定法として、FRMに準じたフィルター捕集−質量法が採用されています。

(フィルター捕集−質量法)
 環境大気中に浮遊する粒子状物質を、導入口から一定の実流量で吸引し、分粒装置を用いてPM2.5の粒子を分粒してフィルター上に捕集し、その質量濃度を測定する方法です。
 捕集装置には、PM2.5ロウボリウムエアサンプラを用い、分粒装置の設計流量により捕集を行います。
 常時監視を行うに当たっては、捕集時刻を0時〜24時(24時間)とします。
 捕集したPM2.5の質量濃度は恒温、恒湿の下でフィルターを恒量化し、捕集前後の質量差を求め、その値を試料大気吸引量で除することにより求めます。

 一方、フィルター捕集-質量法は労力がかかることに加え、得られる測定値が1日平均値のみであり、かつ、秤量のため測定結果を得るまでに最短でも数日を要します。
 したがって、日常的な監視や効果的な対策の検討のために必要となる濃度の時間変動等を迅速に把握するためには、自動測定機による測定が有用です。
 常時監視において自動測定機を用いて測定する場合には、平成21年環境省告示第33号のとおり、標準測定法であるフィルター捕集−質量法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機を用いる必要があります。
 この等価性評価は、中立性を確保する必要があることから、当分の間、環境省が中心となって実施することとされています。
 自動測定機としては、ベータ線吸収法自動測定機、フィルター振動法自動測定機および光散乱法自動測定機があります。
 福井県においては、現在、ベータ線吸収法自動測定機により測定しています。

(ベータ線吸収法)
 ベータ線吸収法は、低いエネルギーのベータ線を物質に照射した場合、その物質の単位面積当たりの質量に比例してベータ線の吸収量が増加することを利用した測定方法です。
 ろ紙上に捕集したPM2.5にベータ線を照射し、透過ベータ線強度を計測することにより、PM2.5の質量濃度を測定します。
 透過ベータ線強度と捕集されたPM2.5の質量との関係は、次式のとおりです。
  I = I0 exp(−μm・Xm
    I : フィルターと捕集PM2.5をともに通過したベータ線強度
    I0: フィルターのみを通過した透過ベータ線強度
    μm: 質量吸収係数(cm2/g)
    Xm: 捕集されたPM2.5の単位面積当たりの質量(g/cm2



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