環境ふくい推進協議会の情報紙

みんなのかんきょう

第38号 平成16年3月発行

表紙写真「れんげ畑」(福井市大土呂町)撮影/坪川 博之

【主な内容】

/// ふるさと環境自慢 ///

福井市 「足羽山の魅力と里山再生」

/// 特 集 ///

野生生物の絶滅と自然環境

/// 私達の活動紹介 ///

表紙写真
「れんげ畑」
(福井市大土呂町)
撮影/坪川 博之
ふるさとの環境自慢特集私達の活動紹介読者の窓イベント情報など

ふるさとの環境自慢
ふるさとの環境自慢

「足羽山の魅力と里山再生」  福井市

足羽山

福井市街地の西南に位置する標高約一一六メートルの『足羽山』。

ここ足羽山からは、福井市街や福井平野はもちろん、遠くは白山連峰の美しい山並みを眺望することができます。

足羽山の玄関口である「愛宕坂」から山麓の「継体天皇像」に至る途中には、「橘曙覧記念文学館」「愛宕坂茶道美術館」「自然史博物館」などの学術・文化施設が点在しています。

また、それらの施設に加え、フィールドアスレチックやミニ動物園、植物園、神社、十数基に及ぶ古墳群など、山全体にさまざまな魅力が溢れ、まさに歴史と自然のオアシスとして市民に親しまれています。

寒い冬が明け、春の季節。「さくらの名所一〇〇選」にも選ばれた三五〇〇本のソメイヨシノが、山全体をピンク色に染め上げます。


継体天皇像
継体天皇像
花だんご
花だんご

とりわけ、足羽神社の境内の樹齢約三五〇年とも言われるシダレザクラは、幾度となく受難をくぐりぬけてきた、市の天然記念物にも指定される名木です。

ところで、桜(花)といえば団子。

どうぞご安心あれ、足羽山には十数件茶屋が建ち並び、「木の芽でんがく」や「花だんご」「おでん」等など季節に応じたメニューが気さくに迎えてくれます。

また、毎年四月一日から約一ケ月間はボンボリが点灯され、夜桜も楽しめます。

桜が終わり若葉の頃も過ぎた梅雨の頃、足羽山はまた違った彩りで賑います。一万四千株に及ぶアジサイが青、紫、薄紅色と山道を鮮やかに彩ります。雨上がりにキラキラと陽の光を浴びる姿…。「紫陽花」の字ごとく、その姿は私たちになんとも神秘的な風情を魅せてくれます。

このアジサイは、市の花にも選ばれるなど、桜と共に、市民に最も親しまれている花です。

このように、自然の魅力溢れる足羽山ですが、今、一つの大きな問題が起きています。

クヌギやコナラの雑木林が、竹に侵食され、様々な自然環境が脅かされているのです。しかし、決して竹が悪いというわけではありません。

昔は、タケノコを採ったり、竹細工のために伐採したりと、人の手が入ることにより、自然とのバランスが保たれていたのです。

足羽山は、かつて「里山」として日常生活に深く関わっていた場所でした。

あるときは、薪や炭の採取場所として、またあるときは、木の実やきのこ採りにと、何気ない日常生活のひとコマがそこにありました。

植物だけではありません。足羽山で採掘される「笏谷石」と呼ばれる青色凝灰岩。青みを帯び、水に濡れるとその色が鮮やかに浮かび上がるこの石は、きめが細かく柔らかで加工しやすいため、古代から石棺(せきかん)、石仏、石塔、排水路、井戸枠、風炉、鉢、臼などの製品や、石祠(いしほこら)、屋根瓦、民家の棟石や基礎、橋梁など、生活の隅々に至るまで、山の恵みはもたらされていたのです。


あじさい
あじさい

モノの豊かな時代となった現代、日常生活が「里山・足羽山」から離れていきました。自然は、放っておけばすぐに荒れ放題になってしまいます。

つまり、手付かずの自然ではなく、人がかかわることによって、里山としての生態系が維持され、生かされてきたのです。

言い換えるなら「里山」は、私たちの生活の営みと共存・協調することによって、おのずから復活し再生していくものだと思います。 私たちは、こうした貴重な「里山・足羽山」を生活に密着した財産として、更には、福井市の宝として後世に残していく大切な責務があります。

堅苦しく考えることはありません。さらさらと流れる水の音、木々の揺れる音、小鳥のさえずり…。

自然が生み出す音のリズムには、人間をリラックスさせる効果があると言われていますが、耳を澄ませば、今でも足羽山からはそんないろいろな音が聞こえてきます。


足羽山周辺図

乳白色の柔らかい桜の光に包まれながら、童心に返り、山の魅力に触れてみる。

そんなちょっとしたかかわりが「里山・足羽山」の再生につながるはず…。皆さんも、自然と歴史の魅力が詰まった「足羽山」で、「里山」の懐かしさを感じながら、心と体のリフレッシュをしてみませんか。


(福井市環境政策課 森 美知廣)

●お詫びと訂正

本紙37号の「ふるさとの環境自慢」中の「青葉山」の写真が左右逆になっておりました。訂正し、お詫びいたします。

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特集

野生生物の絶滅と自然環境

野生生物

T 生物多様性と人とのかかわりについて

1 野性生物の絶滅
@ 多くの野性生物が毎年消えている

メダカの学校は川のなか、そーっとのぞいて見てごらん……♪♪。私が小学校へ入って最初に習った童謡です。この童謡を口ずさむとき、私が育った田舎の小川で膝までつかりながら捕まえたかわいいメダカやゲンゴロウが思い出されます。

しかし、こうしたメダカやゲンゴロウなど、かってはどこでも普通に見られた動物が今では見つけることが難しく、絶滅の危機に瀕していると言われています。動物だけではありません。秋の七草のキキョウやフジバカマなどの植物も今や絶滅しつつあると言われています。

人間が住む地球上には、三〇〇〇万種以上の種の生き物が生存すると言われています。しかし毎年、何千、何万種の生き物が消えていっています。なぜこうした絶滅の危機が起きているのでしょうか。

A 絶滅に至らしめる原因

多くの種の生きものが絶滅し、また絶滅に瀕している状況は、人間の行為が一方的に生き物に影響を与えることにより引き起こされていると言われています。この原因と結果は大きく三つに分けられます。

第一は、人間の活動や開発による種の絶滅や生態系の破壊です。商業目的による動植物の乱獲や過剰な採取、森林の伐採や土地造成さらには埋立てなどによる生息環境の悪化は、多くの種の生き物を絶滅の危機へと追いやっています。

第二は、自然に対する人為の働きかけが減少していることによる種の絶滅や生態系の影響です。人間が自然の恵を受けながら守ってきた土地に里地里山があります。里地里山は、人間が自然に対し絶え間なく世話をし維持してきた土地で、多くの種の生き物が生息しています。しかし生活・生産様式の発達に伴い里地里山は荒廃し、生息環境の悪化により多くの種の生き物が絶滅の危機に瀕することになりました。

第三は、近年問題となっている移入種や化学物質による生態系への攪乱影響です。多くの種の生き物が本来持っている移動能力を超えて、人為的に移入されています。移入された生き物はもともといたその土地の固有の生き物を駆逐し、生態系を大きく変えています。また、化学物質の開発、普及は、生態系へ影響を及ぼすことが危惧されております。

2 生物多様性の保全
@ 生物多様性の保全とは

地球では、多くの種の生き物が様々な環境に適応しながら生息しています。一つの種であっても、生息する地域によって、形や遺伝的な違いがあります。これら多様な種と空気、水、土等が相互に関係し一体となって森林、湖沼、干潟など様々な生態系を形成しています。この中では、人間も一つの種の生き物であり、他の多様な種の生き物とそれを取り巻く空気、水、土等による多様な生態系の環の中でそれぞれと繋がり合い生存しています。

こうした、生き物の多様性、即ち種の多様性と遺伝的多様性、そしてこれらを取り巻く環境の生態系の多様性を加えたものを生物多様性といい、これが将来にわたって確保・保全されることが人間の生存にとって不可欠であり、温暖化と並んで重大な地球環境問題とされています。

A 平成四年国連環境開発会議

生物多様性の保全を図るため、平成四年、国連環境開発会議の開催にあわせて「生物多様性条約」が採択され、生物全般に関する包括的な国際枠組みが作成されました。平成十四年三月現在で一八三カ国が加盟をしています。

条約の第六条では、各国は生物多様性の保全と持続可能な利用を目的とした国家戦略を策定することが定められました。

B 国における取組み

日本は南北に長く、多様な環境が形成されており、わかっているだけでも九万種以上の生き物が生存しているといわれています。こうしたことから、国では平成五年に条約に加盟し、平成七年に「生物多様性国家戦略」を策定しました。平成十四年には、これを見直し「新生物多様性国家戦略」とし、「自然と共生する社会」を実現していくためのトータルプランとして位置付けました。

「新生物多様性国家戦略」では、@種・生態系の保全、A絶滅の防止と回復、B持続可能な利用の三つの目標を設定するとともにこの目標達成のために、@種の絶滅、湿地の減少、移入種問題への対応・保全の強化、A失われた自然を積極的に再生、修復していく自然再生、B里地里山などを対象とした持続可能な方法による土地利用の三つの重点化すべき施策の柱を定め、実効性のある具体的な施策を進めていくこととしました。

C 県における取組み

福井県では、平成十五年一月に福井県環境基本計画を改定し、「循環と共生を基調に環境と調和した『環境立県福井』の実現」を目標に掲げました。そして目標達成に向けた施策展開の一つに「自然の共生」を掲げ、「希少野性動植物の保護など生物多様性の確保」や「希少野性生物が生息する里地里山の保全」に取り組むこととしました。

特に絶滅に瀕している希少な野性生物種の現状を把握し、リストを作成するため、平成十一年度からレッドデータブックの作成に取り組み、平成十三年度には動物編、平成十五年度は植物編を発刊しました。このリストでは、県内に生息する動物で三七一種、また植物で四九二種が絶滅のおそれのある種としてリストアップされ、保全策が必要とされております。

さらに、平成十五年度に、県内の里地里山のうち希少野性生物のスポットとなっている地域の調査を実施しました。この調査をもとに平成十六年度は重要な里地里山三〇箇所を選定する予定です。

3 生物多様性と里地里山
@ 里地里山が果たしてきた役割

里地里山は、集落、水田や畑、ため池、草地等とそれを取り巻く森や林によって構成された土地です。実に日本の国土の約四割を占めています。

古来より、里地里山では人間は自然と対立するのではなく、順応する形で自然に働きかけ世話をし利用してきました。自然を破壊せず、生態系を傷つけずに利用し世話をしてきたのです。そしてこの里地里山は多くの種の生き物を養ってきました。

しかし社会経済の変化に伴い経済的利用価値が薄れ、管理が滞り、人間と自然との良好な関係が崩れてきました。この結果、生態系が崩れ多くの種の生き物が絶滅の危機に瀕することになったのです。

A 里地里山の保全に向けて

現在、社会全体が安定・成熟型へと転換しつつある中で、里地里山に対する保全活用の意識が急速に高まってきています。

人間が手をかけ世話をし維持してきた里地里山は、継続して手をかけ世話をすることによって保全を図ることが可能です。しかし、一度便利な生産・生活様式を経験した以上、昔ながらの方法によるに保全活用では、一時的には復元するものの長続きはしません。時代や社会の流れに逆らわず新しい方法で里地里山を持続的に保全活用していくにはどうしたら良いかということが課題となっています。

今、各地でいろいろな里地里山の保全活用策が取られています。その取組みの内容について里地ネットワーク事務局長の竹田純一氏に述べていただきたいと思います。

※ 参考・引用 新・生物多様性国家戦略 環境省編

(福井県自然保護課 福塚幸夫)

U.生物多様性保全の具体的な取り組み里地里山の保全活用」

1 保全管理の形態
@ 保全管理の形態

従来の保全管理形態は、農家の生産活動と暮らしに欠かすことができない作業でした。人々が食べものを得るための作業、炊飯を行い暖を取るための管理、家や道具を作るための雑木林や田畑の保全など、所狭しと維持管理されていました。しかし、今日のライフスタイルでは、このような必然性はなくなりました。

人の手の入らない放棄され荒廃した林や田畑に、新たな管理の担い手が生まれなければ、生物多様性は失われていきます。

A 保全活用の新たなきっかけ

都市近郊の里地里山では、田んぼの学校や雑木林の中での環境学習が行われるようになりました。この背景にあるのは、里地里山の中での体験学習の必要性です。

一方、絶滅に瀕する希少種を保全しようとする取り組みや、トキやコウノトリに象徴されるような野生復帰の取り組みもここ数年話題を集めるようになりました。農家農村を対象とする中山間地の直接支払い制度の中にも、生物多様性を保全する集落の取り組みを進めるものもあります。消費者との産直交流活動の中にも、人間を含む生き物の健全性を考えた新たな環境への取り組みが拡大しています。

初期段階での社会貢献活動の段階から一歩進んだニーズに基づく管理活用へと時代は進みつつあります。森の中で爽快な活動を行う森林ボランティアや棚田の魅力に取り付かれた応援団、農的な体験活動に生きがいを見出した市民農園制度など、都市型生活の弊害から自らを癒す取り組み、安全安心な食べ物、清らかな大気、水を求め、土を耕し、生き物とのふれあいを大切にする時代へと価値観は移り変わりつつあります。

B 土地保有者と保全管理の課題

里地里山は、里と里を取り囲む農地や草原、雑木林で構成されています。この土地の大半は私有地です。放置され荒廃した農林地は、山と里の境界領域、つまり、かつては小さな段段畑や水田、竹林があった斜面に位置しています。その土地の所有者は、農家か、かつては農家だった都市型の生活を営む人々です。

手入れが行われなくなった荒廃地は、この土地の所有者の同意がなければ保全管理を行うことができません。保全管理を推奨していくには、いくつかの方策を効果的に組み合わせた対策が必要です。

2 管理活用の推進
@ 管理活用方法の啓蒙

里地里山の価値と魅力、生物多様性の意義、私たちの食べ物や暮らしの安全性と安心感。過去五〇年余の間、社会的に軽視されてきた価値を今一度見つめ直し、環境意識の高い意識層のみの関心事から、社会全般への関心へと普及啓発を行う必要があります。

この啓発活動には、二つの側面があります。一つ目は、土地所有者の関心の惹起で、二つ目は、都市型生活者の関心の惹起です。前者は、土地への愛着と管理活用の推奨を生み、自ら管理できない土地の開放や、第三者による管理活用への同意となります。後者は、新たな価値を生み出す源泉となり、新たな担い手や管理コストの分担者を得ることで、保全活用の方向性が開けてきます。

それぞれの土地ごとの異なるニーズが生まれてきます。

A 地元の意識、地域資源の再発見

家と庭、そして道路。暮らしは、都市型へと転換し維持管理を推奨する要素はなくなりました。どのようにして意識を喚起するのか、新たな価値の創出が求められています。

この手法として、里地ネットワークでは、住民と外部者による地域の見直し作業を行なっています。かつての集落の暮らしのありようから、食文化、植物や生物、昔遊び、道具や名人など、その土地が育くみ継承してきた智恵と文化を、老若男女問わず住民全員が、外部の専門家や関係者と共に見つめ直す過程は、驚きと感嘆に満ちています。住んでいながらこれまで一度も触れたことのなかったモノやコトの多さに、また、異なる視点から見た時の地元の魅力に関して知的好奇心や文化の厚みを肌で感じることができます。この過程の中から新たな保全活用の意識が芽生え、担い手が現れてきます。

B 保全活用作業の拡大

里地里山の魅力を再発見すると新たな管理活用が始まります。その担い手は、外部者との共同の作業です。地元の人の智恵や技術と外部者の好奇心、新たな生産と消費の融合は、その土地毎に、かかわる人の関心の方向性や規模、その態様を変え、癒し、体験、食文化、教育、生物多様性、それぞれの関心の方向性を盛り込んだ保全活用です。環境や生物多様性という目に見えにくい将来の価値観から、現実にそこに存在する人々の中での生き方、感じ方、活用の仕方が、初期の拡大段階のエネルギー源です。このエネルギーを欠いた計画には、持続性の観点から若干の不安が残ります。

3 行政支援のあり方
福井市高須町の棚田
福井市高須町の棚田
@ 住民による地域調査の推進と計画づくり、合意形成

里地里山の保全には、行政による生物多様性調査が必要です。県内におけるどの地域が、生物多様性上重要な個所なのか。また、生物多様性上重要な地域は、同時に、文化の多様性を残した地域でもあります。この重要エリアにおいて、地域住民が自らの住んでいる地域を見つめ直し、その豊かさに築く過程を行政側が、支援する必要があります。外部の専門家、行政情報の活用、調査に必要な機材や作業者の手配など、住民だけではできないことをサポートし、また住民の考えた保全プランを行政も一体となって保全活用する方針がまず大切です


A 生物多様性の保全型事業の推進

生物多様性国家戦略が制定されて三年。多様性保全を積極的に盛り込んだ事業はまだ歩き始めたばかりですが、今後計画される諸活動の中には、より積極的に生物多様性の保全効果のある仕組みづくりが求められています。

B 森林整備への支援

森林はかつて農家の暮らしと密接に結びついて活用されていました。この保全を徐間伐作業と位置づけると、ha当り数十万円の管理費用がかかり、継続的に大きな面積の維持管理を行うことは困難です。放置された林を市民に公開した場合、どのような活用形態が考えられるのか、新たな担い手と土地所有者、森林組合や集落の中で、地域のビジョンを事前に示すことができれば、その活用は容易です。

C 水路、溜池、農地の再整備

かつての里地里山は、奥山から山、里へと管理されたことで緩やかな変化のある多様な空間を生み出していました。しかし、機械化にともなう水田の乾田化や水路の三面張り、溜池のコンクリート化は、生物にとっての移動や生息が困難となる結果となってしまいました。現在の生物の生息地マップを整備し、生息地をつなぐ再整備が求められています。この整備を農閑期や地域の新たな担い手の作業として、さらに、地元の間伐材を中心に数年毎に手入れを行う持続型の公共事業とすることで、将来にわたる人間と生物の共生が可能となります。

D 学校教育への地域協力、行政支援

学校教育の現場においても、さまざまな課題を乗り越えながら、生物多様性を大切にした授業を行う学校も生まれてきています。この課題に耳を傾け、環境部局が中心となり、地域住民と共同して環境学習を行うことで、長期的な視点にたった人材育成を行うことができます。

4 武生市西部地区の取り組み

武生市西部地域は、地形や風土の特徴に加えて、伝統的なしきたりを重んじた暮らしが今でも残されている地域です。特に、里地里山の特徴である谷あいの谷津田とそれを取り囲む五〇〜一五〇メートルの里山に囲またこの白山地域は、止水性の生き物たちの宝庫となっています。この地域には、二五の集落があり、現在順次地元学の手法による住民主体型の地域の見直し活動を行っています。かつての暮らしはどうだったのか、農作業のカレンダー、食文化、道具と道具の使われ方、集落作業、生き物の生息場所などです。この調査を通じて、白山地区の生活文化の厚みが見えてきました。ここでの暮らし自体が、生物多様性を支えてきたこと、山の管理、水路の管理、田の管理の方法や時期など、またそのような作業が行われなくなったことや、獣害がますます増えているなどの不安もです。

このような現状把握の上で、改めてどのような地域づくりが将来世代にとってよいのか。生物多様性の根源は、このような地域の存続が根幹であるために、あえて、将来世代への家や集落の継承方法を問い直し、今、行うべきことがあれば、それは何かを、住民自身によって検討して頂くことがもっとも自然な方法であると考えています。この調査自体が、地域のビジョン作りであり、実践を通じて行う保全活用のモデルづくりです。

5 他県の先進事例

千葉県では、里山保全条例ができ県下の里山保全計画が進められています。神奈川県では、平成十四年に里山保全構想が策定され平成十六年度より毎年、数箇所づつ保全活動がはじめられます。また、新潟県では、集落単位の計画策定を県事業「緑の山里いきいき夢プラン」を平成十四年度より毎年十箇所程度行なっています。また、環境省では、トキの野生復帰のためのビジョンを策定し佐渡島におけるトキの餌場となる棚田や水路の復元活動やねぐらのための森の手入れが始まっています。また、山形県戸沢村では、学校と地域が連携した里地里山の保全活動や祖父母から小学生への昔遊びや食文化の伝承活動が始まっています。

(里地ネットワーク事務局長 竹田純一)

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私達の活動紹介

福井日本電気株式会社

〜みんなで楽しく環境保全活動〜

【環境理念】

わたしたちは豊かな環境マインドを育みふくいの自然と共生します。

【行動指針】

わたしたちは全ての企業活動において、一人ひとりが環境へのやさしさを優先して行動します。


当社は豊かな緑と豊かな水に恵まれた坂井平野に位置し、創業以来「環境と調和し、地域と共生する」をモットーに積極的に環境保全活動(省エネルギー、資源循環、資源有効利用、グリーン化活動、リスクミニマム化、環境教育、地域社会貢献)に取組んでいます。

松の木を利用した花壇の縁取り
[松の木を利用した花壇の縁取り]
活動の目的

その活動の一環として、敷地内全長1Kmの遊歩道(2000年4月設置)を歩いて楽しくなる空間にしようと、従業員とその家族の手による植樹・花植え活動として『わくわく遊歩道活動』を2001年12月にキックオフしました。毎年春と秋にイベントを開催し、今日まで環境浄化木のヒマラヤ桜やブルーベリー等を植樹しています。また当社で排出されたガラスビンを細かく砕いたものをリサイクルしたインターロッキングブロックでの遊歩道作り等、役員や労働組合も参加して楽しく活動しています。

参加した子供達への環境教育の紙芝居、餅つき や蕎打ち等、子供達の明るい歓声を聞きながら、イベントを通じて環境問題への意識付けと関心を持って貰えればと思っています。遊歩道も四季折々の顔を見せ、最近は遊歩道のウォーキング仲間も増えてきました。毎年春には当社敷地内周辺は見事な300本の桜花爛漫となります。楽しい遊歩道と共に、事前にお問合せの上、是非見学にお越しください。

インターロッキングブロックでの遊歩道作り
[インターロッキングブロックでの遊歩道作り]

(福井日本電気 事業支援部 環境管理・工務 石川安彦)

天王川美化運動推進協議会

【活動の動機】

天王川では昭和30年代後半頃から徐々に汚染がはじまり、昭和40年には青年団が水質検査を実施したところ魚類が姿を消し、大腸菌の異常発生が確認されて遊泳禁止になりました。また、堤防ではセイタカアワダチ草など外来雑草が繁殖するなど、以前の植生界が壊れ、ゴミ捨て場になっていました。青年たちはこの変化を重く受け止めて、勉強会グループを結成し、県内外の情報収集や現地視察研修などを重ねました。

昭和49年になって、朝日町の豊かな自然を守るとともに、汚れた天王川を改善していくために、町民や各種団体に手作りで実践することの理解を得て、美化運動の開始となりました。

美化運動の様子 美化運動の様子
[美化運動の様子]

【テーマ】

「子どもたちの明日にきれいな川を!」を設定し、『「魚の住める川」「子どもたちが遊べる川」を取り戻そう』を合言葉にしました。

【結果】

昭和49年度は秋に実践しましたが、昭和50年度以降は植生界のことや作業上の利便性を考え、春に実施することとし、以後今日まで3月20日前後を実践の日と定めて続けてきました。


《その間の変化》

@ 当初、メイン会場に設定した天王川約2qの両岸から回収したゴミは2tダンプで7〜8台分でしたが、現在では1〜2台分に減少しました。
(ゴミの内容は、家庭の備品に相当する物から自然木やビニール袋に変化)

放流の様子
[放流の様子]

A 昭和60年頃にウグイなどの魚類を見たという情報が入るようになりました。
(この年からフナ、コイを放流。現在は約20種類が確認されました。)

B 天王川およびその支流など町内全域で実施されるようになりました。
(上流の織田町、宮崎村、武生市へも呼びかけてきました。)

30年が過ぎて天王川はまだ十分に戻りきったとは言えませんが、カヌー教室、イカダ流し大会、魚釣り大会、写生大会、ビオトープの設置など関係団体の頑張りで、子どもたちと大人たちとのふれあう機会が天王川およびその周辺で催されるなど、継続の力が実を結びつつあります。


(天王川美化運動推進協議会会長 御嶽義視)

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読者の窓

当に最近はコンビニだけでなくスーパーマーケットでも出来合いの副菜が多く見かけられるようになりました。そして、買うことにも何の抵抗も感じなくなったような気がします。でも、これで本当によいのでしょうか。できるだけ自分の手を使って食事作りをしていきたいと思っています。

(勝山市 無職 女性)

も常々、食と性格・行動について関心があり、姪や甥のことが心配でした。なるほどと思うことや初めて知ったことなどあり、みんなのかんきょうを何気なく手にとってよかったと思っています。「食は命の源なのに、都合の良さを求める一方で、安全・安心を求める方が間違い」という言葉、心しておきます。大人も子供もスローフードについて学ぶ機会が必要だと思います。

(小浜市 会社員 女性)

ローフードの特集を読んで、私自身は祖母や母のお袋の味になじんでいるのに、自分の子供にはそのような味を残してやれるかどうか心配になりました。便利なファーストフードに手を出す前に、今一度、手作りの食事をとることに心がけようと思う次第です。

(勝山市 保育士 女性)

会が何か生活しづらくなっている中、我々の世代が次の世代に引き継いでいくのは、スローフード運動であると思っています。価格が高くても身近な生産者から、自然の美味しさのあるものを消費し、孫達に伝えていきたいと思っています。

(福井市 無職 女性)

給自足できたらいいのに…というのは理想ですが、その土地で採れた物を新鮮なうちに、その土地の食べ方や新しい食べ方で、ゆっくり食事を楽しみたいものです。

(小浜市 アルバイト 女性)

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自動車リサイクル法がはじまります

自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)

自動車製造業者・輸入業者が「拡大生産者責任」の考え方に基づき、自らが製造または輸入した自動車が使用済となった場合に、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ、シュレッダーダストを引取り、リサイクル(フロン類については破壊)を適正に行ってもらおうという制度です。

自動車所有者の皆様へ2つのお願い

1.リサイクル料金のご負担

自動車所有者は、平成17年1月1日から使用済自動車のリサイクル料金を負担していただくことになります。リサイクル料金は原則として新車購入時に支払っていただくことになります。既に販売されている自動車については、制度スタート後の最初の車検時までに支払っていただくことになります。(自動車の登録・車検時に支払いの確認がなされます。また、最初の車検時までに廃車される場合は、廃車時に支払っていただくことになります。)リサイクル料金の具体的な額は、平成16年末までに、自動車メーカー・輸入業者が定めて、公表することになっております。(これまでの廃車時の必要経費に加えて乗用車で2万円前後必要になるのではないかといわれています。)リサイクル料金は、使用済自動車のエアコンに使用されていたフロン類の回収・破壊、エアバッグの回収・リサイクル、シュレッダーダスト(自動車を解体・破砕処理した後に残るゴミ)のリサイクルに必要な費用に使われます。

2.使用済自動車の引取業者への引渡し

使用済自動車は、県に登録された引取業者(自動車販売・整備業者等)に引渡していただくことになります。使用 済自動車は、次の自動車リサイクル法の流れ図のようにリサイクルされていきます。

自動車リサイクル法の流れ図
こどもエコクラブに集まれ!

こどもエコクラブは小中学生なら誰でも参加できる環境活動クラブです。生き物調査やリサイクル活動など、環境について考えよう、やってみようと思ったら、仲間と一緒にクラブを作って登録しよう!

参加クラブには・・・

・オリジナルの会員手帳やバッジ、環境情報満載のニュースをお送りします!

・希望すれば、フィールド活動応援団が応援に行きます!

エコまる

詳しくは、県環境政策課までご連絡くださるか、みどりネットをご覧ください。

県環境政策課  TEL 0776-20-0301

みどりネットホームページ

http://www.erc.pref.fukui.jp/

アースサポーターを募集します

県では、地域の人たちへ地球温暖化防止に関する情報を提供したり、日常生活において省エネ等の実践活動を行っていただく「アースサポーター」(地球温暖化防止活動推進員)を募集します。

◆募集期間

平成16年4月12日(月)〜4月30日(金)

◆応募要件

年齢18歳以上の県内在住の方で、地球温暖化防止への熱意と行動力のある人

◆募集人数

100人程度

◆活動期間

平成18年3月まで(継続することもできます)

◆応募方法

「アースサポーター応募用紙」に必要事項を記入し、県環境政策課または市町村環境担当課へ郵送、FAXもしくは持参するか、みどりネット内の応募用紙に必要事項を記入し送信してくださ い。

◆問合せ・申込み先

〒910−8580 福井市大手3丁目17−1

福井県福祉環境部環境政策課

TEL 0776-20-0303 FAX 0776-20-0634

または、みどりネット  http://www.erc.pref.fukui.jp/

「みんなのかんきょう」のバックナンバーをのぞいてみませんか?

「みんなのかんきょう」のバックナンバーを「みどりネットホームページ」にて掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

【みどりネットホームページ】

http://www.erc.pref.fukui.jp/

「環境保全のネットワーク」環境ふくい推進協議会のコーナーです!

環境ふくい推進協議会 会員募集!!

環境ふくい推進協議会では、随時会員を募集しています。

環境問題に関心のある方、本紙『みんなのかんきょう』を毎号読みたい方、当協議会主催行事等の情報を知りたい方は、ぜひご入会ください。お待ちしております!

《年会費》

個人会員:500円

企業会員:1口 10,000円(1口以上何口でも可)

団体会員:無料

《申込み・問合せ先》

環境ふくい推進協議会事務局(福井県環境政策課内)

TEL 0776−20−0301

 

空を見ていると表情がころころ変わったり、季節によって風の匂いが違ったり…ちょっとしたことで季節の違いを感じることができます。特別な場所へ行かなくても、私たちのすぐそばに素晴らしい自然や環境がありますね。外へ出て青い空を見上げながら深呼吸すると、それだけで気分がぐっと晴れやかになりますよ。

(M)


ERC.PREF.FUKUI.JP