21(大野勝山盆地)大野市街地区−−−5万分の1地形図【大野】−−−−−−

〔概 要〕〔地形・地質〕〔植 物〕〔鳥 獣〕〔昆 虫〕〔陸水生物〕〔景 観〕

 21 大野市街地区            (メッシュ番号)258
                             259
         __/\
  (★印付近) |    \
        / 坂井郡 | 
        / ̄\_     ̄\___
       /    ̄\___/   \    △←白山
       / 福井市 |吉田郡| 勝山市 \__
      /  __   \−−-\___/  >
     /|/ ̄ |___|美山 |     |
     \丹生郡 /鯖江市 | _町|★大野市 /\
     |   |−−< ̄ ̄  ̄|   _/  \
     |_−−- 武生市\今立郡/   /  和泉村|
      \\__ __/   |   \_   |
       \  |/   ̄\__|_   _| _ /
        \  南条郡  /  ̄ \/ ̄  ̄  ̄
        |_     |
        | \/ ̄\/


〔概 要〕
 市街地は清滝川のつくる高位扇状地の末端部に位置しており、後背湿地との
境には湧水点がならぶ。亀山城では鳥類の数種の生息、繁殖があると思われる
が範囲は狭い。大野市役所の軒下でのコシアカツバメの250巣にも及ぶ営巣は
他に例を見ないものである。
 亀山及び清滝(砂山)は市街に隣接し、公園化した小丘であるにもかかわら
ず、分布上貴重な昆虫もいくつか分布し、また普通種を含めると、昆虫は種類
数・個体数ともにかなり多く、自然観察の場として貴重である。
 湧水池には、紅藻類のカワモズク、天然記念物イトヨが分布し、貴重である
。近年の地下水位低下により、水がれを起こす池が多い。特にイトヨの保護対
策が緊急に必要である。


〔地形・地質〕
 大野盆地の西側にある清滝付近には花崗岩類が露われ、その直ぐ東方の亀山
城付近には新第三紀中新世の火山岩が見られる。市街地は清滝川扇状地にあり
、その西は赤根川の後背湿地となっている。扇状地末端の湧水の一つが「お清
水」である。


〔植 物〕
 水田と市街地に占められる地区で、自然度は低い。


〔鳥 獣〕
 亀山城では、カワラヒワ、イカル、ホオジロ、キジバト、ヒヨドリ、
ムクドリ、コゲラ、キセキレイ、アオサギ、センダイムシクイ、キジ、カケス
、ツバメ、コサメビタキ、サシバを見るが、小範囲のため通過時の観察と考え
られる。
 大野市役所の軒下には数年前よりコシアカツバメが営巣をなし、年々その数
を増して、1983年の調査では250巣にもおよんでいる。うち40〜50個はスズメ
に横取りされているが、このコシアカツバメの数の変遷が一つの指標にならな
いかと考えられる。


〔昆 虫〕
 市街に隣接した亀山は公園化した小丘であるが、二次的なものとはいえ林相
が豊かで、低木・草木もよく発達している。そのため、昆虫相はかなり豊富で
、スズバチとその寄生蜂のオオセイボウが多いことは注目すべきで、稀種
ヨツボシヒメテントウの県下唯一の多産地となっており、他では少ない
ムツボシテントウも少なくない。キンケトラカミキリ、コウゾチビタマムシな
どの比較的珍しい甲虫も記録されている。普通なものも含めれば、蝶類、甲虫
類、蜂類など各種昆虫が多く、自然観察の場として貴重である。
 また、清滝(通称砂山)は亀山からは少し離れ、飯降山に隣接した小丘で、
ハナバチ類が多く、ニシカワトンボとオオカワトンボが共存分布し、亀山と同
様、自然観察の場としてすぐれている。


〔陸水生物〕
 大野市街は木の本原扇状地の末端部にあたり、湧水池が多く湧水帯を形成し
ている。この湧水は昔から市民の生活用水として利用され、重要な水源となっ
ている。
 (藻類)
 湧水帯で確認できた藻類は、藍藻8、紅藻2、珪藻107、緑藻13の計130種であ
る。種類数では珪藻が圧倒的に多いが、これは珪藻以外では査定可能なサンプ
ルが得られなかったことによる。どの湧水池にも出現し、比較的多くみられた
のは緑藻のアオミドロ、珪藻のメロシラ属、ハリケイソウ属、アクナンテス属
、クサビケイソウ属などである。これらはいずれも各種水域に広く分布する種
類である。注目されるものとしては紅藻でカワモヅク属の2種があげられる。
この生息地は限られているようで、県内では数ヶ所知られているのみである。
 (魚類)
 本願清水のイトヨは天然記念物に指定されている。ここをはじめ数箇所の湧
水池にイトヨが生息するが、近年地下水位が低下して湧水量が減少し、イトヨ
の生息が困難になっている。特に保護対策が必要である。


〔景 観〕
 この地区の大部分は、大野市街と水田であるが、市街の西端に小高い亀山が
あり、その西、赤根川の対岸には犬山がある。アカマツ林、スギ林、クリ、
コナラ林の茂る山であるが、市街地に隣接しているために人手が加えられてい
て、自然度は高いとは云えない。しかし犬山は、中世末に朝倉景職の居城、犬
山城のあった山であり、亀山は、近世初頭に金森長近がここに築城し、その後
、明治に至るまで土井氏がその城を居城とした山で、石垣、空濠、老木をのこ
すこれらの山の自然景観には歴史的情緒性がみられる。
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