平成19年度衛生環境研究センター評価委員会結果の概要

<「平成19年度衛生環境研究センター研究課題評価委員会報告書(衛生環境研究センター評価委員会)」より>

1 評価委員会
  
1)対象機関名:福井県衛生環境研究センタ−
  
2)開催日時:平成19年8月30日(木)午前9時45分から12時
  
3)開催場所:衛生環境研究センター大会議室
  
4)出席者委員:学識経験者等7名

2 評価対象
  
1)事前評価研究課題
     @ 福井県における産業廃棄物最終処分場(管理型)の安定化に関する研究
     A ヨシ群落を利用した湖沼の水質改善と
       
ヨシ等の有効利用技術(バイオマスエタノール等)に関する研究
     B 悪性新生物(がん)の疫学研究(1)
       
−人口動態統計データからみた地域特性−
     C 県内産水産物中の残留農薬に関する研究
     D 有機フッ素化合物(パーフルオロオクタン酸)のヒト曝露量推定に関する調査研究
     E 臭素系難燃剤のヒト曝露量推定に関する調査研究
     F ダイオキシン類等有機ハロゲン化合物の調査研究
     G 夜叉ヶ池における水質の季節変動に関する研究
 
  2)事後評価研究課題
     @ 福井県における紅斑熱群リケッチアの探索
     A 志賀毒素産生性大腸菌およびサルモネラ感染症の流行予測に関する調査、
       
および散発下痢症患者由来大腸菌の各性状について
     B 酸性降下物の環境影響解明研究事業
        
3 評価結果
  
1)結果

評 価 区 分

評 価 内 容

評 価 結 果

研究課題評価




調査研究の課題選定、計画内容、達成状況などの評価

事前評価 8課題中
[A:優れている。]    8課題

事後評価 3課題中
[A:優れている。]    2課題
[B:良好・適切である。] 1課題

注)評価基準 : 3段階評点 [A:優れている。] 
                [B:良好・適切である。]

              
[C:やや劣っている、一部見直す点がある。]

 3)総評
    研究課題評価委員会において、事前評価8課題、事後評価3課題の計11課題について
   評価を実施した。その結果、事前評価課題は概ね適正な研究内容・計画であり、また、事
   後評価課題は貴重なデータや成果が得られており、総合的に概ね良好と評価できる。しか
   し、一部の課題には、研究手法等に詰めの甘いところが見受けられ、手法等に一工夫を加
   えることが望まれるもの、成果を学会発表に留まらず県民への周知や対策等に繋げるよう
   努めて欲しいものもあった
    事前評価対象課題については、それぞれ県民の健康維持や環境保全対策に係る重要な課
   題であり、専門性も高く、衛生環境研究センターが掲げる「地域に根ざした研究」に適合
   しており、必要性が高いと評価できる。また、殆んど前例のない研究課題であり、興味深
   い研究になるものと思われる。特に、「福井県における産業廃棄物最終処分場(管理型)
   の安定化に関する研究」については、最終処分場の維持管理や土地利用、環境保全の観点
   から必要不可欠なものと思われ、多くの成果を上げることを期待したい。しかし、一部の
   課題では、研究手法等に詰めの甘いところが見受けられるので、研究期間の中で堅実に成
   果を得るため、更なる吟味・精査が必要であると思う。例えば、「ヨシ群落を利用した湖
   沼の水質改善とヨシ等の有効利用技術(バイオマスエタノール等)に関する研究」につい
   ては、これまで当センターが取り組んできた研究内容とは趣が異なるものであり、地球環
   境保全の観点からも興味深い分野である。しかしながら、当研究の一番の目的である三方
   五湖の水質浄化の達成に向けては、初期段階で、ヨシの有効性や必要量を明らかにするこ
   とが大事である。また、より多くの成果を得るために、各分野の専門家の知識・技術を借
   りるよう役割分担を明確にした方が効率的で良いのではないかと思われる。「県内産水産
   物中の残留農薬に関する研究」については、人の健康を考えるうえで必要であるが、客観
   的評価ができるよう検体数を増やすなど検討を加えることを望む。「有機フッ素化合物(
   パーフルオロオクタン酸)のヒト曝露量推定に関する調査研究」については、パーフルオロオクタン酸が調理
   器具や繊維製品などに多く利用されていることを踏まえると、飲料水や環境中の実態調査
   のみならず、人体にまで調査対象を拡げてリスク評価をすることも必要と思われる。
    事後評価対象課題については、それぞれ重要な課題に取り組み、貴重なデータの蓄積が
   図られるなど、初期の目標を達成したものと評価できる。その一方で、成果の公表やより
   一層の展開・継続に期待したい課題もある。特に、「福井県における紅斑熱群リケッチア
   の探索」については、研究成果を学会発表だけに留まらず、登山者への危険性の周知や予
   防策の啓発を進めるべきと考える。また、「酸性降下物の環境影響解明研究事業」につい
   ては、酸性雨そのものが広域的な問題であり、難しいことは理解できるが、研究結果を踏
   まえてどのような対策が必要か検討すべきである。さらに、夜叉ヶ池の土壌は酸性雨によ
   る耐久容量が小さく、その推移を捉えていく必要があるといいながら、新規課題の「夜叉
   ヶ池における水質の季節変動に関する研究」にそれが取り込まれておらず、その対応策が
   示されていない。すなわち、これらの研究の成果をどのように県民に還元するのかや、ど
   のように対策等に活用するのかなどの視点にやや欠けているので、今後の展開を明らかに
   することも重要と思う。今回の評価課題については、非常に興味深いもの、学術的なもの
   、必要性・有益性の高いものなどがあるので、財政など大変厳しい状況の中ではあるが、
   当委員会の意見等を参考にしながら研究のより一層の充実・推進を図って欲しい。また、
   調査研究にあたっては、他の研究機関との共同研究・分担研究を進めるなど、より多くの
   具体的な成果を出せるよう努力することが重要である。さらに、研究成果の県民への公表
   ・還元や行政での活用が十分に図られるよう検討することや、研究成果を学会誌等に発表
   し、その反響を踏まえて自己研鑽や更なる躍進を図ることも必要である。
    今後も、衛生環境研究センターは、地域における科学的・技術的な中核機関として、県
   民・行政ニーズを踏まえた「地域に根ざした研究」を推進するよう、より一層努力するこ
   とを期待する。
 


◆評価方法等の詳細については
 「福井県衛生環境研究センター評価実施要領、福井県衛生環境研究センター評価実施要領細則」
  をご覧ください。

  ◆ 評価委員会結果の詳細については
   「平成19年度衛生環境研究センター評価委員会結果報告」
   をご覧ください。



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